更新日: 2022.05.07 相続税
母の遺品整理をしていたらタンスの中から現金50万円が。相続税の修正を行う必要はある?
その際、もしも整理しているタンスの中から現金が出てきてしまったときには、どうなるのでしょうか? すでに相続税を納め終えているため、修正申告をしなければならないのでしょうか?
このようなできごとは、金額の大小に関わらず生じやすいことです。私たちは、どのように対処していかねければならないのでしょうか。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
タンスの中のお金も相続税の対象になる
意識してタンスに入れておいた、または無意識のままお金を入れて忘れていたなどに関わらず、遺品整理をしているときにタンスの中からお金が出てきた(タンス預金)場合には、そのお金は相続財産ですので、相続税の課税対象財産となります。
いわゆる「タンス預金」と呼ばれるものは、金融機関に預けずに自宅で保管しているお金のことをいいます。タンスのほかにも仏壇の引き出し、机の中、本棚などから見つかることがあるかもしれません。
たとえどのような場所から見つかったとしても、相続財産に変わりはありません。
遺産分割をする前なら、相続財産に含めなければなりませんし、遺産分割をした後なら、相続人でタンス預金を分割する必要があります。
タンス預金は申告の必要はあるの?
「『タンス預金」は自宅にあるお金だから、申告しなくても問題ないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、税務署は申告された財産をチェックしますので、申告された財産が少なすぎると疑問を感じたときには、金融機関の取引をチェックすることがあります。
このチェックは、相続人が知らない間に調べられていることも少なくありません。調査の結果、申告内容に懸念点などがあれば税務署から連絡が届きます。
税務署の担当者の方に、実際に申告漏れが発覚するケースについて取材したところ、一例として、相続争いをしている・していた家族からの情報提供があり、発覚することがあるのだそうです。
自分が見つけたお金だからと独り占めをしていると、意図的に財産を隠したのではないかと疑われ、悪質と判断されることがあります。この場合は、本来、納めるべき相続税のほかに、重加算税の40%が加算される可能性があります。
申告漏れの重大さを知らなかった、そんなに金額も多くないし問題ないだろう、などと軽く考え、申告を怠ることは絶対にしてはいけません。申告は正しく行わないとペナルティーを課せられることがあることを覚えておきましょう。
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すでに相続税を納めた後の場合には、修正申告が必要になる
相続税の場合、基礎控除額が設けられています。基礎控除額の計算式は、「3000万円+600万円×相続人の人数」です。
もし、相続人が3人であれば、3000万円+600万円×3人=4800万円が基礎控除額です。
相続税を納めているというのは、すでに基礎控除額やそのほかの控除額を差し引いた後でも課税すべき財産があったということです。この場合は、必ず修正申告をしなければなりません。
なお、修正申告ができるのは、原則として法定申告期限(相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内)の翌日から5年以内です。
5年を経過した場合には時効を迎えるため、修正申告は不要です。また、意図的に財産金額を少なく申告した際の時効は7年となっています。
時効まで隠し通せば税金を納めなくてもよいということではありません。先述のとおり、申告は必ず行いましょう。
基礎控除額やそのほかの各種控除額を差し引いて、納税しなくてもよい状況であった場合にも、新たに見つかった金額によっては、相続税を納めなければならないこともあります。
新たな財産が見つかり、相続税が発生するのかどうか分からないときには、まずは、税務署に相談してみましょう。税務署では、どのように手続きすればよいのか、納税が必要になるのかのアドバイスを受けることができますよ。
もちろん、税理士に相談してもよいのですが、相談料がかかってしまいます。
相続が発生すると、何かと出費は続きます。できるだけ出費を抑えつつ、正確な情報を集めるようにしましょう。
出典
国税庁 相続税
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト