更新日: 2019.01.10 相続税
遺産分割後、母のへそくりを発見 こっそり自分のものにしたら罪?
預金通帳や郵便物を調査することで大体のお金の流れが分かり、財産を把握することができますが、中には取り逃してしまう財産も。
例えば、遺産の分割が終わったあとに、タンスの下から亡くなった母親が貯めていたへそくりが見つかったら…。
「いまさら面倒だし、誰にも言わずこっそり自分のものにしてしまおう」というのは罪になるのでしょうか?
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士
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目次
遺産分割の主な流れ
まずは、遺産が分割されるまでの主な流れをみてみましょう。
1.相続財産の調査
遺産を分割する前に、誰が相続人か、どの財産が相続財産にあたるのか、遺言があるかなどを調査します。相続人の調査は戸籍を取り寄せて行います。
2.遺産分割協議
遺言がある場合は、遺言に沿って遺産分割を行います。
遺言がない場合は、遺産分割協議が行われます。遺産分割協議は裁判外での話し合いのことです。形式に決まりはありませんが、すべての相続人が参加して話し合いをする必要があります。
3.協議が不成立だった場合は、裁判所を介した遺産分割
遺産分割協議が成立した場合は遺産分割協議書を作成し、それに沿って遺産分割を行います。遺産分割協議で一部の相続人が協議に応じなかった場合や、意見がまとまらなかった場合は、裁判所を介した遺産分割が行われます。
まずは「遺産分割調停」の申し立てをするのが一般的です。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。
4.調停
調停の申し立てが受理されると裁判所が第1回の期日を決定し、申立人と他の相続人に裁判所に出頭するよう通知します。調停では裁判官または裁判所が選任した調停委員を間に入れて、相続人間で話し合いをします。
5.調停が不成立だった場合、審判
調停が成立した場合は、調停結果に沿って遺産分割が行われます。
調停でも話し合いが解決しなかった場合は、「審判」を行います。審判では、相続人それぞれが主張と立証をし、それらをもとに裁判所がどのように遺産分割をすべきか決定します。
6.審判に不服申し立てがあった場合、抗告審による審理
審判が確定した場合は審判に沿って遺産分割が行われます。他の相続人が確定した審判に従わない場合、強制執行等の手続きも可能です。
審判の告知の日の翌日から2週間後に遺産分割の審判が確定します。確定するまでの間であれば、不服がある場合「即時抗告」することが可能です。
このように、遺産分割はすべての遺産を洗い出したあと、すべての相続人が集まって決める必要があります。しかし、もし隠れた遺産を自分だけが見つけ、そのまま懐に入れてしまったら、どうなるのでしょうか。
親の死後にその人が貯めていたへそくりが見つかり、こっそり自分のものにした場合、罪に問われるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。
死んだ人のへそくりを、こっそり自分のものにする行為は横領罪に該当します。
本来であればへそくりも分割の対象になるもの。一般的には遺産分割協議書において、分割後、新たな遺産を発見した場合は誰々に相続すると決められていることが多いです。
見つけた財産をこっそり自分のものにしたことが知られれば、本来財産を受け取るはずの権利者が権利を主張したり、損害賠償を請求する可能性があります。
また、手に入れたへそくりに対して、税金を払わずに着服してしまったら脱税になります。
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少額でもばれれば信頼を失うかも?相続は正しい手順で行おう
死んだ人のへそくりをこっそり自分のものにした場合、横領罪に該当します。また、もし他の相続人にばれてしまった場合は、支払請求をされたり、損害賠償請求をされることもあるようですね。
たとえへそくりが数万円程度だったとしても、あとでばれては周りの人の信頼を失います。お金はトラブルのもとです。相続は正しい手順を踏んで、トラブルを回避することが望ましいですね。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士