更新日: 2022.09.29 その他相続

土地や建物を相続したくない人は意外と多い! そんなときに知っておきたい相続放棄とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

土地や建物を相続したくない人は意外と多い! そんなときに知っておきたい相続放棄とは?
終活に関する情報を発信するメディア「終活瓦版」を展開する株式会社林商会が、2022年2月に行ったアンケート調査(調査対象:20代以上の男女150名)によれば、家族や親族から相続したくない財産の第1位に挙がったのが「土地・不動産」とのことです。調査に参加した150名のうち、54名(36%)が挙げる結果になりました。
 
メンテナンス代や固定資産税を考えると、損をする可能性もあるので、相続したくない人も多いのでしょう。
 
本記事では、相続したくない場合に利用できる制度として、相続放棄について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

相続放棄とは

相続放棄とは、預貯金や不動産などプラスの財産はもちろん、借入金などマイナスの財産も含め、一切相続しないことを指します。
 
なお、相続放棄をする際は、相続が開始された(亡くなった)ことを知った日から3ヶ月以内に手続きが必要です。被相続人の、最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続き(申述)をします。
 

相続放棄のメリット

相続放棄のメリットは以下の2つです。
 

マイナスの財産を相続しなくて済む

相続放棄すれば、マイナスの財産も相続しなくて済みます。亡くなった人がさまざまな場所・人から借金を重ねていたとしても、相続放棄してしまえば、一切返済しなくてかまいません。
 

もめごとに巻き込まれない

相続放棄をすると、もめごとに巻き込まれなくなります。相続放棄をした時点から相続人でなくなるため、親族間での話し合いが紛糾したとしても、一切関係ありません。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

相続放棄のデメリット

一方、相続放棄のデメリットにも触れておきましょう。
 

すべての相続財産を手放すことになる

相続放棄をしたら、すべての相続財産を手放すことになります。同居していた親が被相続人だった場合、相続放棄をすると家から出ていくはめになるでしょう。
 

やり直しができない

一度相続放棄の申述をしたら撤回はできません(民法919条)。被相続人が、実は多額の財産を持っていたのを知らなかった場合でも、撤回・取り消しはできないので損をする恐れがあります。
 

受理されないケースもある

相続放棄が受理されないケースもある点に、注意が必要です。以下のように、被相続人の財産を相続する行為があった場合は受理されません。

・被相続人に所有権のある不動産名義を相続人に変更した
・被相続人の預貯金を葬儀費用にあてた
・被相続人宛ての請求書代金を支払った

 

ほかの相続人ともめる原因にもなる

相続放棄により相続順位が変動するので、もめる原因にもなります。
 
例えば、生前に借金を重ねていた母親が亡くなったとしましょう。唯一の相続人だった息子が相続放棄をしたら、(存命であれば)祖父母や母親の兄弟姉妹(おじ・おば)に相続権が移ります。
 
身に覚えのない借金が降りかかるため、トラブルの引き金になるのは想定内でしょう。
 

不要な土地・建物を処分するには?

相続放棄にはメリットもある一方、デメリットもあるので慎重に進めたいところです。
 
仮に、相続放棄したい理由が「使いそうにない土地や建物を相続したくない」だったら、以下のように違う手段も検討しましょう。

・売却する
・不動産会社に買い取ってもらう
・建物を解体し、土地として売却する
・他人に貸す
・寄付をする

 

生前から相続について話し合っておこう

実際に相続が発生する=家族が亡くなってしまうと、遺族は葬儀の準備や遺品の整理など、やらなくてはいけないことに追われます。その中で相続放棄の手続きもするとなると、冷静な判断ができないかもしれません。
 
できれば相続したくない土地や建物を持つ家族がいるなら、生前から話し合いをし、相続放棄を含めた方針を決めましょう。
 

出典

裁判所 相続の放棄の申述
e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
株式会社林商会 【150人に聞いた】家族や親族から相続したくない遺産があると答えた人は80%!相続したくないもの第1位は〇〇?!(2022年)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集