土地や建物を相続したくない人は意外と多い! そんなときに知っておきたい相続放棄とは?
配信日: 2022.09.29
メンテナンス代や固定資産税を考えると、損をする可能性もあるので、相続したくない人も多いのでしょう。
本記事では、相続したくない場合に利用できる制度として、相続放棄について詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続放棄とは
相続放棄とは、預貯金や不動産などプラスの財産はもちろん、借入金などマイナスの財産も含め、一切相続しないことを指します。
なお、相続放棄をする際は、相続が開始された(亡くなった)ことを知った日から3ヶ月以内に手続きが必要です。被相続人の、最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続き(申述)をします。
相続放棄のメリット
相続放棄のメリットは以下の2つです。
マイナスの財産を相続しなくて済む
相続放棄すれば、マイナスの財産も相続しなくて済みます。亡くなった人がさまざまな場所・人から借金を重ねていたとしても、相続放棄してしまえば、一切返済しなくてかまいません。
もめごとに巻き込まれない
相続放棄をすると、もめごとに巻き込まれなくなります。相続放棄をした時点から相続人でなくなるため、親族間での話し合いが紛糾したとしても、一切関係ありません。
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相続放棄のデメリット
一方、相続放棄のデメリットにも触れておきましょう。
すべての相続財産を手放すことになる
相続放棄をしたら、すべての相続財産を手放すことになります。同居していた親が被相続人だった場合、相続放棄をすると家から出ていくはめになるでしょう。
やり直しができない
一度相続放棄の申述をしたら撤回はできません(民法919条)。被相続人が、実は多額の財産を持っていたのを知らなかった場合でも、撤回・取り消しはできないので損をする恐れがあります。
受理されないケースもある
相続放棄が受理されないケースもある点に、注意が必要です。以下のように、被相続人の財産を相続する行為があった場合は受理されません。
・被相続人に所有権のある不動産名義を相続人に変更した
・被相続人の預貯金を葬儀費用にあてた
・被相続人宛ての請求書代金を支払った
ほかの相続人ともめる原因にもなる
相続放棄により相続順位が変動するので、もめる原因にもなります。
例えば、生前に借金を重ねていた母親が亡くなったとしましょう。唯一の相続人だった息子が相続放棄をしたら、(存命であれば)祖父母や母親の兄弟姉妹(おじ・おば)に相続権が移ります。
身に覚えのない借金が降りかかるため、トラブルの引き金になるのは想定内でしょう。
不要な土地・建物を処分するには?
相続放棄にはメリットもある一方、デメリットもあるので慎重に進めたいところです。
仮に、相続放棄したい理由が「使いそうにない土地や建物を相続したくない」だったら、以下のように違う手段も検討しましょう。
・売却する
・不動産会社に買い取ってもらう
・建物を解体し、土地として売却する
・他人に貸す
・寄付をする
生前から相続について話し合っておこう
実際に相続が発生する=家族が亡くなってしまうと、遺族は葬儀の準備や遺品の整理など、やらなくてはいけないことに追われます。その中で相続放棄の手続きもするとなると、冷静な判断ができないかもしれません。
できれば相続したくない土地や建物を持つ家族がいるなら、生前から話し合いをし、相続放棄を含めた方針を決めましょう。
出典
裁判所 相続の放棄の申述
e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
株式会社林商会 【150人に聞いた】家族や親族から相続したくない遺産があると答えた人は80%!相続したくないもの第1位は〇〇?!(2022年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部