更新日: 2023.05.02 葬儀

葬儀代が安くすむって本当? 「市民葬」ってどんなお葬式?

葬儀代が安くすむって本当? 「市民葬」ってどんなお葬式?
市民葬あるいは区民葬(以下市民葬という)と呼ばれる葬儀をご存じでしょうか? 名称から想像ができるように、地方自治体が関わっている葬儀の形態で、一般的な葬儀費用と比べて経済的な負担が少ないといわれています。
 
本記事では市民葬の利用方法から、そのメリットやデメリットまで解説します。葬儀費用や葬儀が気になる人は参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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市民葬とは

市民葬という言葉から、地方自治体の施設などで行う葬儀を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、市民葬自体はほとんどの場合、一般的な葬儀社の葬儀場で行われます。
 
費用が安いといわれていますが、これは地方自治体が葬儀費用の一部を負担しているからです。ただし、自治体によって負担金の額もさまざまで、火葬のみの場合は負担金がないケースもあります。
 
市民葬はなぜ費用が安くなっているのでしょうか。まずは、市民葬の仕組みがどうなっているかを解説します。
 

市民葬の仕組み

市民葬は、原則として一般の葬儀社が葬儀を執り行います。ただし自治体によっては自治体が主体で葬儀を行うケースもあります。
 
市民葬の詳細に関しては自治体によって異なりますが、共通しているのは亡くなった人、または喪主がその自治体に住民登録している必要がある点です。つまり市民葬は、自治体の住民への行政サービスの一環と考えられます。
 
自治体と葬儀社は提携関係にありますが、自治体が葬儀費用を一部負担する場合としない場合があります。葬儀費用の負担がない場合でも、費用は比較的安価に設定されています。
 

市民葬の利用方法

市民葬の利用方法も、自治体によって違いがあります。図表1で自治体による違いを比較しましたので参考にしてください。
 
【図表1】

自治体A 自治体B 自治体C
対象者
利用資格
・死亡者または施主が自治体Aに住民登録をしていること

・葬儀が原則として自治体Aで行われること

・自治体Aが委託している葬儀社を利用すること

・死亡者と施主いずれも自治体Bの住民基本台帳に記録されていること

・自治体Bの規定する基本仕様により、指定葬儀社で行うこと

・死亡者が自治体Cに居住し住民基本台帳に記録されていて、その葬儀が自治体Cや特定の周辺自治体において行われること

・施主が自治体Cに居住し住民基本台帳に記録されていて、その葬儀が自治体Cにおいて行われること

申し込み方法 自治体Aが委託している葬儀社に「市民葬儀で行いたい」旨を伝える

※葬儀終了後の申請は受付不可

指定葬儀社へ葬儀を依頼する際に市民福祉葬利用であることを伝え、「市民福祉葬申請書」を市役所市民課に提出する 市民葬委託指定葬儀社に直接連絡し、市民葬と伝える

 

市民葬の料金

市民葬の料金に関しても自治体によって大きな違いがあります。図表1と同じ自治体で料金に関しても図表2で比較したので参考にしてください。
 
【図表2】

自治体A 自治体B 自治体C
料金体系 ◆仕様1
・祭壇および葬具……7万円
・火葬
6歳以上……7万2000円
6歳未満……3万9600円
・霊きゅう車……2万3100円
・合計 16万5100円(最大)

◆仕様2
・祭壇および葬具……13万円5000円
・火葬
6歳以上……7万2000円
6歳未満……3万9600円
・霊きゅう車……3万円
・合計23万7000円(最大)

◆自治体負担は一律4万円

※上記以外に付属品費あり

◆基本仕様1
葬儀式+火葬
・葬儀場
・祭壇および葬儀に必要となる葬祭用具
・ひつぎおよび骨つぼ
・寝台車
・火葬場
合計27万円

◆基本仕様2
火葬のみ
・ひつぎおよび骨つぼ
・寝台車
・火葬場
合計16万5000円

◆自治体負担額
仕様1:22万円
仕様2:11万5000円

◆仕様1
・祭壇……13万5000円
・火葬等
・火葬代……7万2000円
・霊きゅう車……1万4160円
合計22万1160円

◆仕様2
祭壇……5万円
・火葬代……7万2000円
・霊きゅう車……1万4160円
合計13万6160円

◆自治体負担額
仕様1:6万3000円
仕様2:10万円

 

市民葬のメリット

市民葬は自治体によって仕組みや費用に大きな違いはありますが、共通したメリットがあります。それは一般的な葬儀と比べて費用が安くなるという点です。
 
市民葬は利用者を地域住民に限った上で、行政サービスの一環として行われており、自治体が費用の一部を負担します。費用面のメリットも含めた市民葬のメリットをご紹介します。
 

葬儀費用を安く抑えられる

一般的な葬儀費用は、平均で100万円前後かかるといわれています。市民葬では葬儀・火葬費用が最大でも20万円以下となるケースが多いので、一般的な葬儀の5分の1以下です。
 
また、一般的には葬儀費用以外にも以下の費用がかかるため、総額では200万円を超えることも珍しくありません。

●飲食接待費
●返礼品
●寺院費用

市民葬では、葬儀や火葬費用以外は定められたプラン以外の要素となるので、市民葬の費用には含まれません。しかし、飲食接待などを任意で行う場合でも、市民葬を利用することで葬儀費用を抑えられるため、安くできます。
 

自治体と提携している葬儀社なので安心感がある

市民葬ができる葬儀社は、自治体と提携している葬儀社です。そのため、信用のある葬儀社として、利用者に安心感を与えられます。
 

料金プランのパターンが決まっているので打ち合わせに時間がかからない

市民葬では通常2つほどのプラン(仕様)が提供されています。仕様を限定することで細かい打ち合わせが不要になり、時間がかからない点も市民葬のメリットです。
 

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市民葬のデメリット

市民葬にはメリットも多いですが、そのメリットが反対にデメリットにもなることもあります。これは葬儀に対する考え方によって違いが生じるといってもよいでしょう。
 
例えば、亡くなった人の体面を気にする人にとっては、市民葬はむしろデメリットに感じるかもしれません。市民葬を検討する場合は事前にデメリットについても理解しておきましょう。
 

葬儀社、葬儀場を自由に選べない

市民葬は自治体と葬儀屋の提携によって成り立っているため、葬儀社や葬儀場は限定されてしまいます。そのため、葬儀社と葬儀場を自由に選べないのがデメリットです。
 

決められたプランから外れると追加料金が割高になる

プランにないことをしたい場合には、追加料金が割高になったり、そもそもできなかったりするのがデメリットです。
 

原則として質素な葬儀になる

市民葬は、一般的な葬儀に比べると葬儀費用の相場が5分の1以下の格安な葬儀となります。そのため、祭壇なども質素になるのがデメリットです。    
 

市民葬・区民葬は質素でも費用を抑えたい場合に利用しよう

市民葬のメリット・デメリットは葬儀に対する考え方によってまったく正反対になります。市民葬にメリットを感じるのは、費用を抑えたい人でしょう。
 
反対にデメリットを感じるのは、豪華な葬式で故人を送り出したいと考える人かもしれません。市民葬を選択肢に含める場合は、自分が葬儀をどのように考えているかを十分考えた上で決定しましょう。
 
※2023/5/2 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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