子どものいない兄が「死亡後に1000万円をどこかの団体に寄附したい」と言います。実現した場合、税金はどうなるのでしょうか?

配信日: 2024.07.22 更新日: 2024.07.23

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子どものいない兄が「死亡後に1000万円をどこかの団体に寄附したい」と言います。実現した場合、税金はどうなるのでしょうか?
自分が亡くなった後に、「地域の発展に貢献したい」「子どもたちの教育に役立てたい」などと、社会貢献を目的とした財産の寄付を希望する方もいるでしょう。本記事では、寄付に関する税金の仕組みや寄付金にかかる税金の種類、寄付金控除の基本や寄付先の選び方について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

遺贈寄付とは

自分が亡くなった後、財産を国や地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人、あるいは特定の個人に寄付することを「遺贈寄付」といいます。遺贈寄付は、将来の学校教育への支援や地域社会への恩返しなどができる社会貢献の手段として注目されています。
 
団体などに提供するという意味では、一般的な寄付と同じです。しかし、遺贈寄付の場合、自分の遺産を利用して多額の寄付をすることが可能になります。
 

遺言による寄付は税負担がない

遺贈寄付には、「遺言による寄付」「相続財産による寄付」「生命保険・信託による寄付」などの種類がありますが、本記事では「遺言による寄付」と「相続財産による寄付」について説明していきます。
 
まず、遺言による寄付の場合はどの団体にいくら寄付するかを遺言書に記載しておくことで、相続発生後に相続人や遺言執行者によって寄付が行われます。
 
遺言により国や地方公共団体などへ寄付する場合、相続人が準確定申告をすることで所得税の寄付金控除が適用されます。準確定申告とは、遺言者が死亡した日までに確定した所得金額および税額について相続人が申告、納税することです。
 
寄付先が法人であれば、原則として相続税の対象になりません。相続税は個人が受け取った財産に対して課せられるため、法人が寄付という形で受け取った財産は対象外となるのです。
 
ただし、自身や親族が経営する会社に寄付する場合には、会社に受贈益が発生して原則法人税が課税されます。
 
また、遺言書に財産の寄付に関する記載があっても、受遺者が遺贈を放棄した場合は相続人が相続することになり、寄付する予定の財産も相続税の対象となってしまいます。
 
遺言による寄付をしたい場合は、手続きをスムーズに進められなかったり、寄付を断られたりする恐れがあるため、寄付先の団体に自分の意思を伝えておきましょう。
 

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相続財産による寄付は相続税の対象になる

遺産の相続人に寄付について伝えておき、相続人が寄付を行う「相続財産による寄付」も遺贈寄付に該当します。遺言による寄付と同様に、寄付先の団体へ事前に連絡する必要があることを相続人に伝えておかなければなりません。
 
相続財産による寄付は遺言による寄付と異なり、一時的に個人に相続されることになるため、原則として相続税が課せられます。
 
ただし、国税庁によると「相続や遺贈によって取得した財産を、相続税の申告期限までに、国、地方公共団体、公益を目的とする事業を行う特定の法人または認定非営利活動法人(認定NPO法人)に寄付した場合や特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合は、その寄付をした財産や支出した金銭は相続税の対象としない」という特例があります。
 

寄付金控除を受けて節税しよう

寄付金控除とは、特定寄付金を支出した場合に受けられる所得控除のことです。特定寄付金には、国や地方公共団体、特定の公益団体、認定NPO法人への寄付金などが該当します。
 
遺言による寄付の場合は、相続人による準確定申告をもって所得税の寄付金控除が適用されます。相続財産による寄付の場合は、相続税の申告期限までに上記の団体に寄付することで寄付金控除を適用可能です。
 

寄付金控除を受けるための寄付先選び

相続財産による寄付で寄付金控除を受けるためには、国や地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人に寄付する必要があります。このような団体に寄付した場合は、寄付した財産が相続税の対象外となります。遺贈寄付をするうえで節税を意識したい方は、控除が受けられる寄付先であるかどうかを確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
国税庁 No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき
国税庁 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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