更新日: 2024.08.06 贈与

高校3年生の娘の「大学進学費用」を祖父母も協力してくれるそうですが、いくらまでなら税金関係を気にせず受け取れるでしょうか?

高校3年生の娘の「大学進学費用」を祖父母も協力してくれるそうですが、いくらまでなら税金関係を気にせず受け取れるでしょうか?
子どもの大学進学費用は金額が大きいため、子どもの進路の希望をかなえるために祖父母からの協力をあおぐという家庭も多いのではないでしょうか。しかし、まとまった金額を受け取るときには、贈与税がかかるケースがあることに注意が必要です。
 
本記事では、祖父母から教育費を受け取るときに贈与税がかからない金額のボーダーラインを、ケース別にまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

必要な都度、祖父母から受け取る教育費には贈与税がかからない

贈与税は、原則として個人間で年間110万円を超える財産を受け取るとかかる税金です。ただし、夫婦や親子などの扶養義務者から生活費や教育費にするために受け取った財産で、通常必要な範囲のものには課税されません。
 
孫から見た祖父母は扶養義務者に当たるため、学費や教材費、文具費などに充てるためを必要なときに必要な金額だけ受け取るのであれば、贈与税の対象外となります。非課税額の上限は定められていないものの、一般的な金額を超えない程度とされ、大学生なら400万円前後が目安といわれています。
 
しかし、受け取り方や使い道には注意が必要です。将来を見越して一度に大きな金額を受け取った場合や、受け取ったお金を貯蓄や投資に回した場合は、贈与税がかかります。
 

祖父母から一括でまとまった教育費を受け取るときの贈与税のボーダーライン

祖父母から教育費としてまとまった金額を受け取る場合、どの制度を選択するかによって贈与税が非課税になる金額の範囲に差があります。以下で、贈与税に関する3つの制度のあらましと、それぞれを選択した場合の非課税のボーダーラインや必要な手続きなどを見てみましょう。

●暦年課税
●相続時精算課税
●教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

 

暦年課税の場合

暦年課税とは、1~12月の1年間に贈与を受けた財産の合計額から、贈与税額を計算する課税方式です。1年間に受贈した金額の総額から基礎控除額110万円を差し引き、贈与額などに応じた税率を掛けて税額を算出します。110万円までの贈与額であれば、贈与税はかかりません。
 
暦年課税を選択する場合は特別な手続きは必要ありません。毎年の申告期間(例年2月1日~3月15日)に税務署に申告書を提出し、申告の都度、納税することとなります。
 

相続時精算課税の場合

相続時精算課税とは、贈与者から1年間に受贈した財産の合計額をもとに贈与税を計算し、贈与者が死亡したときに相続税で精算する課税方式です。相続時精算課税は、次の場合に贈与者ごとに個別で選択できます。

●贈与者が贈与をした年の1月1日時点で60歳以上(父母、祖父母など)
●受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上かつ、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫

つまり、表題のケースでは孫が高校3年生の1~3月で18歳になっているタイミングで祖父母から贈与を受けると、相続時精算課税が選択可能です
 
相続時精算課税を選択した場合の贈与税は、相続時精算課税を選択した相手から1年間に贈与された財産の合計額から、基礎控除額110万円と特別控除額2500万円(前年以前にも特別控除を適用した場合は2500万円-前年以前の控除額)を差し引き、20%の税率で贈与税額を算出します。
 
つまり、相続時精算課税の場合は、最大で2610万円万円までは、祖父母から教育費を一括で受け取っても贈与税がかかりません。ただし、相続時精算課税を選択するには、贈与税の申告期間内に、税務署に相続時精算課税選択届出書を提出する必要があるため、手続きを忘れないように注意しましょう。
 

教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度を利用した場合

教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度とは、30歳未満の受贈者が教育資金に充てるための財産を祖父母などの直系尊属から一括贈与された場合に、受贈者1人につき累計1500万円までが贈与税非課税になる制度です。
 
この制度を利用するには、贈与者である祖父母と受贈者である孫の間で贈与契約を結び、金融機関の管理のもと教育資金専用の口座を介して資金の受け渡しを行う必要があります。受贈者が資金を受け取るには決められた用途に必要な資金であることを証明する領収書を金融機関に提出しなければなりません。
 
また、本制度の契約期間中に贈与者である祖父母が亡くなると、口座の残高は祖父母から孫への相続財産と見なされて、相続税の対象になります。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

祖父母からの教育費は受け取り方を工夫しよう

祖父母から教育費を受け取る場合、必要になるたびに必要な金額を出してもらう方法であれば、贈与税はかかりません。また、暦年課税では110万円、相続時精算課税では最大2610万円、教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度では最大1500万円までの非課税枠もあります。
 
祖父母から教育費の援助を受ける場合は、どのような受け取り方をすると節税できるのかをよく考えて、上手に資金を受け取りましょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 第1条の2《定義》関係
国税庁 財産をもらったとき
一般社団法人全国銀行協会 Q. 子の教育資金を祖父母から援助してもらう場合、注意すべき点はありますか?
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集