更新日: 2024.09.26 相続税
両親が亡くなり家や車を相続したのですが、現金がなく「相続税」を支払えません。よい対処法はないのでしょうか?
相続税の納付ができないときは、制度を活用することも選択肢の一つです。今回は、相続税が支払えないときに利用できる制度についてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続税を支払えないときはどうすればいい?
相続税は、相続した財産すべてが対象となるため、亡くなった方の現金が少なくても、持ち家や自動車があれば税額が高くなる可能性はあります。基本的には一括で支払いが必要ですが、現金がないといった理由で相続税を支払えないときは、延納や物納制度が利用できないか税務署に相談しましょう。
延納する
相続税の延納制度では事前に申請をすることで、本来の納期限日よりもあとに期限をずらして、年払いで納付できます。ただし、延納が適用されるためには、相続税額が10万円を超えていて、かつ、納付が難しい理由があること、また納付が難しい金額の範囲であることが条件です。
さらに、相続税額が100万円を超えており、延納期間も3年を超える場合は担保を提供する必要があります。国税庁によると、担保として提供できる財産は以下の通りです。
●国債および地方債
●社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
●土地
●建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
●鉄道財団、工場財団など
●税務署長が確実と認める保証人の保証
なお、延納を利用すると「利子税」も課されます。利子税の割合は、期限を延ばした期間や相続した不動産の割合に応じて変動し、1.2~6.0%です。
物納する
延納制度を利用しても相続税を納税できないときは、物納制度を利用し、現金の代わりに相続財産の一部を使用して相続税の支払いができるようです。以下では、国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4214相続税の物納」を基に物納の要件に該当するものをご紹介します。
●延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
●物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、日本国内に所在する次に掲げる財産および順位(1から5の順)となること。
1.不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
2.不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
3.非上場株式等
4.非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
5.動産
物納できる財産とできない財産は条件が細かく決められているため、物納できるか分からないときはまずは税務署に相談してみましょう。
無断で延滞はしない
相続税を支払えそうになくても、延滞はしないようにしましょう。納付期限を過ぎると延滞税が加算されるほか、「申告していない」「相続財産を少なく申告した」などの場合は加算税の対象です。
加算税の種類には、無申告で期限を過ぎた場合に「無申告加算税」、すでに申告している納税額が本当の納税額よりも少ないときの「過少申告加算税」、税金の無申告や過少申告が悪質であったときの「重加算税」などがあります。
加算税の支払いが求められたときでも、相続税の支払いは必要です。無申告のままでいると、支払う税金の負担が増えるだけなのでやめた方がいいでしょう。
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一括で払えないときは制度を利用できないか相談する
相続税は、基本的に一括で支払う必要がありますが、現金での支払いが難しいときは、延納や物納制度を検討しましょう。支払いが難しい理由がある場合、条件を満たしていれば、支払期限を延ばしてもらえたり現金の代わりにほかの財産で支払えたりします。
もし、支払いが難しいときでも、相談もせずに支払わないままでいることはやめた方がいいでしょう。追加で税金が課され、さらに支払い負担が重くなるおそれがあります。まずは税務署へ行って、相談することが大切です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
No.4211 相続税の延納
No.4214 相続税の物納
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー