更新日: 2024.11.05 その他相続
遺産にするなら現金より「土地」にしたほうがよいという話を友人から聞いたのですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、財産を残すにあたって、現金より土地をおすすめする理由を詳しく解説します。相続税の仕組みを知れば、上手に財産を次の代へバトンタッチできるでしょう。財産の残し方で迷ったときは、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺産を土地で相続すると節税メリットがある
現金で遺産を相続するより、土地で相続したほうが相続税の節税に繋がります。
相続する人にとって、相続税の負担は決して軽いものではないでしょう。少しでも相続税の負担を軽減したいと考えるのであれば、現金より土地で財産を形成することをおすすめします。
土地の相続が節税に繋がる理由は2つあります。
土地の評価額が現金よりも低くなる
相続する土地の評価額が低くなれば、課される相続税も軽減されます。現金より評価額が低くなる理由は、国税庁で公開されている「路線価方式」と「倍率方式」が関係するためです。
土地を売却するときは時価ですが、相続税を計算する際に土地の評価額を決めるときは、路線価方式か倍率方式が用いられます。路線価等は、1月1日を評価時点とし、1年を通して時価変動を考慮したものを、国税庁が毎年7月1日に公開しています。
公開される路線価等は、地価公示価格等を基準に80%程度に留められているため、土地のほうが評価額は低くなるのです。
例えば、同じ1億円の遺産だとしても、土地で相続する場合の評価額は約8000万円になります。つまり、現金1億円をもとに相続税を計算するよりも、土地で相続したほうが相続税は安くなるというわけです。
特例によって土地の評価額を下げられる
土地を相続するとき、相続が開始される直前の用途によっても、土地の相続評価額は最大80%まで減額されます。
表1
相続開始直前における 宅地等の利用区分 |
限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
被相続人等の 事業用途となっていた宅地等 |
200㎡または400㎡ ※利用区分により異なる |
50%または80% ※利用区分により異なる |
被相続人等の 居住用となっていた宅地等 |
330㎡ | 80% |
出典:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」より筆者作成
事業用・居住用ともに要件はあるものの、限度面積を超えていなければ、土地の相続評価額が80%まで減額されます。つまり、相続評価額をもとに計算する相続税は、大きく軽減されるメリットが生まれます。
1億円の土地で小規模宅地等の特例を利用した場合、相続評価額を計算する際に80%減額されるため、1600万円まで評価額を下げることが可能です。
土地の相続評価額は財産としての価値が下がるの?
相続税の計算上で用いられるのは、土地の相続評価額ですが、財産の価値として考えるときは時価が用いられます。
土地の時価とは、赤の他人に土地を売却するときに設定する金額です。主に4つの要因が関係しています。
● 公示地価
● 固定資産税評価額
● 需要と供給のバランス
● 不動産会社による査定
一方で、土地の相続評価額は「路線価等」や「小規模住宅等の特例」により、大きく評価額が下がっています。
つまり、土地の相続評価額だけを見て、財産としての価値が下がったと考えて不安になる必要はないということです。時価と土地の相続評価額は、異なる計算です。土地の価値はあくまで時価であることを覚えておいてください。
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相続税の節税なら財産は現金より土地がおすすめ
財産を残したいと思ったとき、相続する人が支払う相続税を軽減するという意味では、現金より土地がおすすめです。同じ遺産額でも、特例を利用できる土地のほうが、相続税の課税対象となる金額が低いため節税に繋がります。
ただし、相続人が複数いて遺産を分割できない場合には、土地を相続した人が他の相続人に対して、相続分を現金で分配する必要があります。遺産として土地を検討する際は、相続人同士が争うことがないよう、専門家に相談しながら対策することが大切です。
出典
国税庁 令和6年分の路線価等について
国税庁 No.4606 倍率方式による土地の評価
国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー