父親が「新聞」を契約していたことを亡くなってから知りました。まだ解約していないのですが、これは娘の私が払わないといけないのでしょうか?

配信日: 2025.02.09

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父親が「新聞」を契約していたことを亡くなってから知りました。まだ解約していないのですが、これは娘の私が払わないといけないのでしょうか?
新聞の購読契約をしていた場合には、原則として一方的に解約はできません。本記事では、契約者である父親が亡くなった場合に、新聞の購読契約をどのように対応したらよいのか解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

父親が亡くなった時点で購読契約は無効にならないのか?

新聞購読をすることは、「契約」行為に該当します。契約とはどのようなものかを確認し、その契約を解約できるケースについて解説します。
 

1.「契約」とは?

法務省の高校生向け法教育教材「未来を切り拓く法教育~自由で公正な社会のために~」によれば、「契約とは、当事者双方の意思表示(考えを表すこと)が合致することで成立する約束のこと。例えば、『この本を1000円で売る』『この本を1000円で買う』という売手と買手の意思表示が合致することで売買契約が成立します」とあります。
 
新聞購読も、生存中に父と新聞販売店との間で、意思表示が合致して購読を申し込んだものですので、「契約」となります。
 

2.契約した人が亡くなったら、その契約はどうなるのか?

契約が成立している場合に、その契約者が亡くなった場合には、相続人にその契約内容の権利と義務が引き継がれます。したがって、父親の遺産を相続する人が、契約を引き継ぐため、新聞代を支払う必要があります。契約を引き継ぐ人が、母親や兄弟姉妹など複数いる場合には、だれが契約を引き継ぐのかを相続する人たちで話し合う必要があります。
 

3.どんなときに新聞購読を解約できるのか?

日本新聞協会販売委員会および新聞公正取引協議会などが作成した、「新聞購読契約に関するガイドライン」では、新聞の途中解約に関する指針が明示されています。
 
次の3項目に該当する場合には、解約できるとしています。
 
(1)ルールに基づく解約申し出である場合
「契約書面を受け取った日から8日以内」であればクーリングオフ期間なので、一方的に解約ができます。父親が契約した新聞購読が、クーリングオフ期間中であれば、契約を解約すれば新聞代を支払う必要はありません。
 
(2)不適切な契約が行われていた場合
父親が契約した際に、下記のようなことが証明できれば、契約を解除できます。その場合も、(1)同様に新聞代を支払う必要はありません。
 

(ア)威迫や不実告知など、不適切な勧誘を行ったとき
(イ)新聞公正競争規約の上限を超える景品類の提供など、同規約に沿わない販売方法を行ったとき
(ウ)契約期間が自治体が定める条例等の基準を超過していたとき
(エ)相手方の判断力が不足している状態で契約したとき(認知症の方など)
(オ)相手方が本人や配偶者以外の名前で契約したとき

 
(3)その他、考慮すべき事情がある場合
解約が合理的と考えられたケースや未成年者の契約であったケースは、解約できます。解約が合理的とは、購読者の死亡や病気・入院・転居などの理由が該当します。今回のケースは、父親が亡くなっており、これに該当するので解約できます。
 

新聞購読契約の手続きは?

父親が死亡したことで、上記、新聞の途中解約に関する指針のうち「その他、考慮すべき事情がある場合」に該当するため、解約できます。具体的には、以下の手続きをする必要があります。
 
1. 相続人の代表者は、父親が契約した新聞販売店に、契約者である父親が亡くなったこと、そして自分が相続人であることを伝えます。
 
2. 次に、名義変更もしくは、解約の手続きを行います。
(1)名義変更をする場合
相続人が父親の住んでいた場所に転居し、新聞購読を継続するなど、今後も、契約内容を引き継ぎたい場合には、名義を父親から相続人へ変更する必要があります。また、名義変更と合わせて、購読料の引落口座情報などの変更手続きを行う必要があります。
 
(2)解約
父親が購読していた新聞を今後購読しない場合には、契約解約の手続きを行います。ただし、契約期間が残っている場合には、違約金が発生する場合や、期間満了までは解約をすることができない場合もありますので、販売店にご確認ください。
 

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まとめ

亡くなった父親が新聞購読の契約をしていた場合には、原則として、相続人が、その契約を引き継ぎます。
 
相続人が複数いる場合には、だれが引き継ぐか話し合う必要があります。契約を引き継いだ相続人が、新聞購読を継続するか、解約するかの手続きを行います。解約した場合には、それまで発生した金額もしくは違約金を支払う場合もあります。
 
ただし、相続人が相続放棄をすれば、新聞購読の契約を引き継ぐ必要がなくなり、新聞代や違約金を支払う必要はありません。なお、不明な点がある場合には、お住まいの自治体にある消費者センターなどに相談をするのもよいでしょう。
 

出典

法務省 高校生向け法教育教材 未来を切り拓く法教育~自由で公正な社会のために~ 私法と契約
独立行政法人国民生活センター 新聞の定期購読契約は途中で止められる?
新聞公正取引協議会・日本新聞協会販売委員会 新聞販売のルール
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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