子どもに相続できる預金が200万円しかありません…。少しでも多く渡したいのですが「相続税」はかかってしまうのでしょうか?

配信日: 2025.03.18

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子どもに相続できる預金が200万円しかありません…。少しでも多く渡したいのですが「相続税」はかかってしまうのでしょうか?
近年、老後資金や相続に関する調査が行われ、多くの人が相続できる預金額に不安を抱えていることが明らかになっています。このような状況でも、「子どもに少しでも多くの資産を残したい」と考える親世代は少なくありません。
 
本記事では、相続できる預金が200万円しかない場合に相続税がかかるのか、相続対策の注意点とともに解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続できる預金額の半数が500万円以下

ベンチャーサポート相続税理士法人(東京都中央区)が実施した「老後資金に関する調査」(調査実施期間:2024年9月30日、有効回答数:1010人)によると、子どもへ相続予定の預貯金額が「500万円未満」と回答した人が52.1%にも上りました。
 
さらに、3000万円以上の預貯金を相続できる予定の人はわずか10.5%であり、親からの資産承継における格差が広がっていることが分かります。
 
また、老後資金に関しては、65歳以上の年金受給者のうち31.3%の人が「500万円未満」の貯蓄しかないと回答しており、老後資金不足が深刻であることもうかがえます。
 
相続できる資産が少ないからこそ、相続税の有無が気になる方も多いのではないでしょうか。次に、相続税の仕組みを見ていきましょう。
 

相続税の仕組みとは?

相続税には「基礎控除額」という制度があり、相続財産がこの金額を超えないかぎり、相続税は発生しません。基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
 
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
 
基礎控除額を超えた部分に対して、相続税が発生することになります。法定相続人ごとの基礎控除額は、図表1の通りです。
 
図表1

相続人の人数 基礎控除額 相続財産200万円に対する相続税
1人 3600万円 課税されない
2人 4200万円 課税されない
3人 4800万円 課税されない

国税庁「No.4152 相続税の計算」をもとに筆者作成
 
相続財産が200万円であれば、基礎控除額を大幅に下回るため、相続人が1人でも相続税はかかりません。
 

相続税がかからないなら相続対策は不要?

相続税がかからないとしても、相続の手続きや名義変更などの準備が必要です。特に、預金の相続に関しては、銀行での手続きが必要なのでご注意ください。
 

預金の相続手続きは必要

銀行口座にある預金は、被相続人が亡くなった時点で凍結されます。そのため、以下の手続きを進める必要があります。

1. 銀行への連絡:死亡届の提出後、銀行へ連絡して口座が凍結される
2. 必要書類の準備

主な必要書類は次の通りです。(遺産分割協議書があるケース)


・遺産分割協議書
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本もしくは全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本もしくは全部事項証明書
・相続人全員の印鑑証明書

3. 払い戻しの準備:銀行にて所定の手続きを行い、相続人の口座へ振り込まれる
 
預金額が少額であっても、スムーズに手続きを進めるため準備しておくことをおすすめします。なお、遺言書の有無によっても必要書類は変わるので、詳しくは金融機関に確認してください。
 

生前贈与を活用する方法もある

預金が200万円なら、相続税はかかりません。しかし、前述の通り預金口座は凍結されてしまうので、預金を引き出すまでに手間がかかります。そこで、生前贈与を活用する方法もあります。
 
生前贈与には「暦年課税制度」があり、年間110万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。ただし、生前贈与には、相続開始前7年間の持ち戻し期間がある点にご注意ください。受贈者が法定相続人の場合、相続開始前7年以内の贈与について相続財産に加算されます。
 
とはいえ、200万円の預金のほかに相続財産がなければ、生前贈与分が加算されても、相続税の基礎控除額の枠内に収まる可能性が高いでしょう。
 

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まとめ

相続税には「基礎控除額」があり、相続人が1人でも3600万円まで非課税のため、200万円の相続財産には税負担がありません。ただし、銀行口座は相続発生時に凍結されるため、手続きが必要です。
 
スムーズな相続のためには、必要書類を準備し、早めの対応を心掛けましょう。また、生前贈与を活用すれば、手間を減らしながら資産をスムーズに移せる可能性もあります。
 

出典

ベンチャーサポート相続税理士法人 老後資金に関する調査
国税庁 財産を相続したとき
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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