税理士の友人に「君の死後、奥さんが銀行から生活費を引き出せないかも」と言われた! 貯蓄「2000万円」でも、万一のとき妻が生活に困ることに!? 子どもがいない場合の注意点も解説
相続の基本的なルールは民法で定められており、配偶者であれば基本的には相続財産を受け取れます。このため2000万円もの貯蓄があれば、配偶者が当面の生活費に困るようなことはないように思えますが、なぜ残された配偶者が銀行から生活費を引き出せない状況に陥ってしまうのでしょうか?
本記事では、子どものいない夫婦間で相続が発生する場合に問題となるケースについて解説します。
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相続財産を受け取る順番は決まっている
民法では、相続財産を受け取れる人、いわゆる法定相続人が決まっています。また、法定相続人の中でも、相続財産を受け取る順番が定められています。最も優先されるのは亡くなった人の配偶者で、原則として相続財産を受け取れます。配偶者以外の法定相続人の順位は次の通りです。
●第1順位:子ども(死亡している場合は孫)
●第2順位:親
●第3順位:兄弟姉妹(死亡している場合はおいやめい)
第1順位がいないときに第2順位へ、第1順位および第2順位がいないときに第3順位へ、といったように前の順位の人がいなければ、後の順位の人が相続人になります。
子どもがいない場合の相続の問題点は?
子どものいない夫婦間の相続で問題になるケースについて考えてみましょう。相続のときは、相続人全員で相続財産をどのように分配するかを決定するために、遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議が完了するまでは、相続財産は相続人全員の共有財産になっています。共有財産である以上、たとえ配偶者であっても相続財産に手をつけられません。そのため、生活費さえ引き出せなくなる可能性があります。
子どもがいない場合は、この問題がより深刻になる可能性があります。子どもがいないので第1順位は該当者がおらず、一般的に加齢により配偶者が亡くなる場合は、自分や配偶者の親も既に亡くなっており、第2順位も該当者がいないケースが考えられます。そうすると、兄弟姉妹がいる場合は第3順位に該当するため、兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹と普段から付き合いがあり、すぐに相談できれば良いのですが、配偶者側の兄弟姉妹ということもあり、疎遠になっていたり居場所や連絡先すら分からなかったりするケースも考えられるでしょう。その場合、遺産分割協議が思うように進まず、相続財産を使えない期間が長引く可能性があります。
遺言書を書くことで相続財産を受け取る人を指定できる
このような問題を避けるために、遺言書による遺言相続という選択肢があります。遺言は、本人が亡くなったときに自身の財産をどのように分配するかの意思を明らかにするものです。遺言書は原則として法で定められた配分よりも優先されるため、「配偶者に全財産を相続させる」と記載があれば、その通りに相続することも可能です。
子や親がいる場合は、遺族の生活保障などの観点から、一定の額は相続させなければならない遺留分というものがありますが、兄弟姉妹は遺留分の対象から外れます。
子どもも親もいない場合の相続において、遺言書を用いれば配偶者に全財産をスムーズに相続させることができます。遺言書は、遺言者自らが手書きで書く「自筆証書遺言」と、公正証書として作成する「公正証書遺言」の2つに分けられます。自身の状況にあったほうを選択してください。
子どもがいない世帯は遺言書を活用しよう
相続が発生すると、基本的には相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産をどのように分配するかを決定します。この遺産分割協議が完了するまでは、相続財産は相続人の共有のものであるため、配偶者であっても相続財産に手をつけられません。また、子どもがいない場合には、兄弟姉妹が相続人になるケースも考えられます。
普段の関係性が希薄だと、遺産分割協議に時間がかかり、生活費に困るような事態になる可能性があります。相続がスムーズに完了し、残された遺族が困らないように、遺言書を活用するなど生前から対策しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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