「1億円」の遺産がある父が死亡。母親と子ども4人で相続すると、税金はどうなる?

配信日: 2025.05.01 更新日: 2025.07.02
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「1億円」の遺産がある父が死亡。母親と子ども4人で相続すると、税金はどうなる?
人が亡くなった際、遺産を相続する人数によって相続税額や各相続人の相続できる遺産額は異なります。特に、相続税額は相続人数によって基礎控除額が変わるため、計算方法を知っておいた方がよいでしょう。
 
また、相続時のトラブルを防ぐため、計算方法のほかに遺言書の有無も確認が必要です。今回は、相続税の計算方法や1億円を5人で相続したときの税額例、相続トラブルを防ぐポイントなどについてご紹介します。
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相続税額の計算方法とは

国税庁によると、相続税は、以下の手順で計算します。


(1)相続財産の総額から葬式費用や債務、非課税となる財産(仏壇や祭具など)を差し引く
(2)贈与された財産のうち相続財産に該当するものを加算する
(3)(2)から基礎控除を引く
(4)(3)の金額を法定相続分通りに各法定相続人に分け、それぞれの金額に対して税率をかける
(5)それぞれの法定相続人の相続税額を合計する
(6)(5)の税額を実際に相続した割合でそれぞれの相続人に分ける
(7)各相続人の税額から必要に応じて控除を引いた金額が、それぞれの実際に負担する相続税額

なお、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」です。法定相続人数が多いほど基礎控除額が多くなり、相続税額は少なくなります。
 

配偶者と4人の子どもで相続したときの相続税額

今回は、配偶者(母親)と4人の子どもが相続した場合の相続税額を求めましょう。条件は以下の通りです。


・相続財産は1億円
・葬式費用や債務、非課税財産は考慮しない
・相続財産となる贈与された財産は考慮しない
・相続割合は法定相続分通りとする

まず、法定相続人数が合計5人のとき、基礎控除額は「3000万円+600万円×5人」で6000万円です。また、配偶者と4人の子どもが相続する場合、法定相続分通りの相続割合は配偶者が2分の1、子どもが1人につき8分の1ずつになります。
 
基礎控除を引いた課税相続財産は「1億円-6000万円」で4000万円です。法定相続分の通りに分けると、配偶者は2000万円、子どもは1人につき500万円です。
 
課税相続財産が2000万円のときの税率は15%、控除額が50万円のため、配偶者の税額は250万円です。また、課税相続財産が500万円のときの税率は10%なので、子どもが負担する税額は1人あたり50万円になります。配偶者と子ども4人の相続税額を合計すると、450万円です。
 
相続税450万円を実際の相続割合(今回は法定相続分通り)に分けると、配偶者は225万円、子どもは1人につき56万2500円です。ただし、配偶者には最大1億6000万円(または配偶者の法定相続分相当額)までの配偶者控除があるため、今回のケースだと母親に相続税の負担はありません。
 

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遺産相続でトラブルにならないようにするポイント

相続時のトラブルを防ぐためには、まず亡くなった方が遺言書を残していないか確認しましょう。遺言書があれば、基本的に遺言書通りに財産を分ければ問題ありません。遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を実施して、遺産の相続割合を決定します。
 
しかし、遺産分割協議で誰がいくら相続するかが決まらず、調停に発展する可能性もあります。可能であれば、元気なうちに正式な遺言書を書いてもらうことで、いくら相続するかが明確になるためトラブルが起こりにくくなるでしょう。
 
遺言書を書いてもらうときは、本文の全てを遺言者本人が自書し、日付・押印・署名が必要です。もし記載漏れがあると、正式な遺言書として認められない場合があります。遺言書が認められないと、新たなトラブルの元になる可能性があるため、注意しましょう。
 

法定相続分通りなら相続税も母親が2分の1、子ども4人で8分の1ずつの割合で負担する

相続財産や相続税は、法定相続分を基に計算し、その後実際の相続割合を基に按分します。
 
今回のケースで相続割合が法定相続分通りであれば、1億円の遺産は配偶者が2分の1、4人の子どもは8分の1ずつ相続し、相続税の負担割合も同様です。ただし、配偶者は配偶者控除があるため、今回のケースでは相続税はかかりません。
 
相続するときにトラブルを避けるためには、可能であれば遺言書を書いてもらうとよいでしょう。遺言書に各相続人の相続割合を記載しておけば、相続時にスムーズに分けられるためです。
 
なお、遺言書は記載漏れがあると認められない場合があるので、遺言書を基に遺産を分けたいと考えているのであれば、記載項目に問題がないか事前に確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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