亡くなった親の「定期預金」を解約して「500万円」受け取りました。相続税の申告は必要でしょうか?
本記事では、定期預金の相続手続きの流れや、相続税の申告が必要なケース、税負担を軽くする方法について解説します。
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住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
定期預金の相続手続きとは?
亡くなった人の銀行口座は、金融機関が死亡を確認した時点で凍結されます。たとえ家族であっても、そのままでは引き出したり解約したりはできません。親の死後に定期預金を解約するためには、まず金融機関に亡くなったことを知らせたうえで、正式な相続手続きを進めましょう。
手続きの流れ
定期預金を相続する際の手続きの流れは、以下の通りです。
1. 銀行等に連絡し、口座を凍結してもらう
2. 遺言書の有無を確認
3. 誰が相続人なのかを確認する(戸籍謄本の取り寄せ)
4. 遺産分割協議を行い、定期預金を誰が相続するのかを決める
5. 銀行等に必要書類を提出し、解約または名義変更を行う
金融機関によって必要書類が異なるため、事前に問い合わせておくとスムーズに進められます。また、相続人が複数いる場合は、話し合いをしっかり行い、遺産分割協議書を作成することが大切です。
遺産分割協議や相続手続きは複雑なため、司法書士や税理士に依頼するのもおすすめです。ただし、司法書士や税理士に依頼する場合は費用がかかります。
名義変更した方がよいケース
定期預金は、名義変更すれば定期預金のままで相続することも可能です。現在の定期預金の金利相場は、0.25~0.5%です。かつては今よりも金利水準が高く、1990年ごろには約6%でした。古くから継続している定期預金には、有利な金利が適用されている可能性があるため、名義変更がおすすめです。解約前に確認しておきましょう。
相続税の申告が必要になるケース
相続税は、相続財産の合計が基礎控除額を超えた場合に課税されます。基礎控除額は、以下の式で算出できます。
基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、相続人が配偶者と子ども1人の合計2人の場合、以下の金額までなら相続税はかかりません。
3000万円+(600万円×2人)=4200万円
500万円の定期預金を相続した場合はどうなる?
今回のケースのように、500万円の定期預金を相続した場合はどうなるのでしょうか。他の財産(不動産や預貯金など)を含めても、合計が4200万円以下であれば相続税はかからず、原則として申告も不要です。
一方、他の財産と合わせて基礎控除額を超えた場合は、相続税の申告が必要になります。そのため、申告が必要かどうかの判断は、預貯金だけでなく、不動産や株式など全ての遺産を合算して考えなければなりません。
相続税を少しでも減らすための方法
親が亡くなったときだけでなくその他の場面でも、相続税がかかるときに活用できる控除や特例を知っておくと、税負担を軽くできます。
生命保険の非課税枠を利用する
生命保険金には「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる制度があります。例えば、相続人が2人なら1000万円まで非課税となり、相続税の対象から外せます。
預貯金が基礎控除額を超えそうなときは、生命保険を活用することで相続財産を減らし、課税対象を抑えるのがおすすめです。
配偶者の税額の軽減を活用する
配偶者が相続する場合、「1億6000万円」もしくは「法定相続分」のどちらか大きい金額までは相続税がかかりません。そのため、もう片方の親(配偶者)が存命なら、いったんは配偶者が相続することで相続税の負担を軽減できます。
ただし、配偶者が亡くなった後、次の相続で税負担が増える可能性があるので、二次相続(子どもへの相続)のことも考えながら活用しましょう。
相続税の申告が必要かどうか正しく判断しよう
亡くなった親の定期預金を解約して500万円を受け取った場合、すぐに相続税が発生するわけではありません。基礎控除額の範囲内であれば、原則として申告は不要です。ただし、他の財産と合算して基礎控除額を超える場合は、申告と納税が必要になります。
そこで、相続税の負担を減らすためには、生命保険の非課税枠や配偶者控除などを活用することがポイントです。手続きをスムーズに進めるためには、早めに必要書類を準備するとともに、必要に応じて税理士や公認会計士などの専門家にも相談するとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
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