祖母が遺産「1000万円」を私に残してくれたのですが、祖母を介護してくれた親戚に譲りたいです。遺産相続は拒否できるのでしょうか?
本記事では、遺産相続にかかる費用や必要書類、注意点などを解説します。遺産相続を拒否できるか気になる方は、参考にしてください。
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遺産相続は拒否できる?
遺産は「もらって当たり前」と思うかもしれませんが、実は法律上、相続を拒否することも可能です。亡くなった方の財産や借金を一切引き継がない、相続放棄といいます。
相続が発生すると、法定相続人は次の3つの方法から選択する必要があります。
●単純承認:被相続人(亡くなった方)の財産も借金もすべて受け継ぐ方法
●相続放棄:財産も借金も一切受け継がない方法
●限定承認:相続によって得た財産の範囲内でのみ借金を引き継ぐ方法
相続放棄が認められれば、その相続人は初めから相続人ではなかったものとされ、遺産分割協議にも関与しません。
相続放棄にかかる費用や必要な書類
相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。手続きの際には、書類と費用を準備しましょう。
申述にかかる費用としては、申述人一人につき収入印紙800円分がかかります。さらに、家庭裁判所との連絡用として郵便切手をあわせて提出する必要があります。切手の金額や内訳は裁判所ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
必要な書類は以下の通りです。
●相続放棄の申述書
●標準的な申立添付書類
●被相続人の住民票除票または戸籍附票
●申述人の戸籍謄本
このほかにも、被相続人との関係性によって追加で必要な書類が発生する場合があります。自分に必要な書類を事前に確認し、申述期限を過ぎないように準備しましょう。
相続放棄するときの注意点
相続放棄をする際は、注意すべき点があります。
まず、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければ、すべてを引き継ぐ単純承認と見なされてしまい、放棄は認められないため注意が必要です。ただし、亡くなったことを知らなかった場合や、相続財産が一切ないと信じる正当な理由があった場合などは、例外的に期限後の申述が受理される可能性もあります。
また、相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかった扱いとなり、次の順位の相続人に権利が移ります。相続の順位は、以下の通りです。
●第1順位:死亡した人の子ども
●第2順位:死亡した人の親や祖父母
●第3順位:死亡した人の兄弟姉妹
第1順位の人が放棄した場合は第2順位の人に、第2順位の人も放棄した場合は第3順位の人に権利が移ります。思いがけない相手に相続の権利が回ることもあるため、放棄前に関係者へ伝えておくことが望ましいでしょう。
さらに、「相続財産を受け取らない」と話し合いで決めただけでは、借金などの負債に対して法的に責任を免れません。負債を含めて一切かかわりたくない場合は、正式な相続放棄の手続きが必要です。
なお、相続財産の内容が不明で判断が難しいときは、家庭裁判所に申し出ることで申述期間の延長が認められるケースもあります。相続放棄は適切に行えば自分や家族を守る大切な方法ですが、判断を誤ると予期せぬ負担につながるため、早めに専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
遺産相続は3ヶ月以内に手続きすれば拒否できる
相続放棄をすれば、遺産相続を拒否できます。しかし、相続放棄するには相続が開始されてから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。この期限を過ぎると、すべて受け継ぐ単純承認とみなされるため、必要な書類を確認して早めに準備しましょう。
もし一人で手続きすることが難しい場合は、専門家の力を借りながら適切な手続きを進めましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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