1人っ子で将来「実家」は相続放棄の予定。でも「財産の処分に100万円」「損害賠償の可能性あり」と聞いてビックリ! どうしてそんなに“お金のリスク”があるの? 理由を解説

配信日: 2025.06.13 更新日: 2025.07.02
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1人っ子で将来「実家」は相続放棄の予定。でも「財産の処分に100万円」「損害賠償の可能性あり」と聞いてビックリ! どうしてそんなに“お金のリスク”があるの? 理由を解説
一人っ子の場合、「親が住んでいた実家の相続を放棄したい」というケースが発生する可能性があります。相続を放棄すると、両親に直系尊属や兄弟姉妹がいない場合は財産を相続する人がいなくなりますが、相続放棄した財産は誰が管理するのでしょうか。
 
状況によっては相続放棄していても財産の保存義務が生じることもあります。本記事では、相続放棄をしても実家の保存義務が生じる条件や、保存義務で生じる可能性がある金銭的なリスクを解説します。
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相続放棄しても、次の相続人が財産を管理できるまでは管理責任(保存義務)は残る

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)のプラスの財産も、マイナスの財産も相続しないことを指します。相続財産を受け取ることはできなくなりますが、代わりに負債を相続する義務もなくなります。
 
相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要で、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に、相続放棄することを家庭裁判所に申述する必要があります。ただし、相続放棄したとしても、状況次第では費用負担が生じることもあります。
 
例えば、兄弟姉妹がいて、自分が相続放棄した土地・建物を兄弟姉妹が相続した場合、財産も管理責任も相続した兄弟姉妹が負うことになります。
 
一方、自分以外に土地や建物を相続する人がいない状況で相続放棄した場合は、状況次第で相続放棄しても管理責任(保存義務)が残ります。
 
民法940条では、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、その財産を保存しなければならない」との旨が定められています。
 
「現に占有している」との記載があり、相続人が亡くなった人と暮らしてきた自宅を相続した場合には、相続放棄後も管理責任が生じることになります。
 

相続放棄した自宅の保存義務を負う場合の金銭的リスクとは?

亡くなった人の自宅で一緒に暮らしていた相続人は、「現に占有している」といえます。相続放棄をしても、ほかに相続する人がいないと保存義務を負い、場合によっては金銭的な負担が発生することがあります。
 
金銭的な負担を負うケースの一例として考えられるのが、損害賠償責任です。相続放棄の時点で「現に占有している」状態にあった場合は、例えば、適切に管理しなかった空き家が台風で崩れて通行人にけがを負わせたら、管理責任者として損害賠償請求をされる可能性があります。
 
また、亡くなった人が借金をしていた場合、保存義務を怠ったことで空き家の価値が下がると、空き家の処分財産で債権回収をしようとしていた人が回収できなくなり、保存責任を問われ損害賠償請求をされる可能性もあります。
 
保存義務のリスクから解放されるには、「ほかの相続人に引き継ぐ方法」がありますが、一人っ子で両親・親戚ともに他界しているようなケースでは難しいでしょう。また、ほかに相続人がいたとしても、その相続人が相続放棄すると現に占有している自分に保存義務が残ります。
 
ほかの相続人がいない人が保存義務を免れるには、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てることが必要です。相続財産清算人に相続財産を引き継ぐことで、保存義務はなくなります。
 
相続財産清算人は、空き家の場合はまず売却などの手段を検討し、難しければ国庫に帰属させる手続きをおこないます。
 
ただし、相続財産清算人に依頼するには800円の収入印紙と数千円程度の郵便切手の費用、5075円の官報公告料がかかります。さらに20万~100万円程度の「予納金」を払わねばならない可能性もあります。
 
相続放棄した場合は財産を勝手に売却できないため、相続財産清算人に引き継ぐために100万円以上の金銭の準備が必要になる場合があると覚えておきましょう。
 

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まとめ

相続放棄をすることは相続人の自由ですが、相続した建物を現に占有する場合、保存義務が生じることがあります。勝手に売却すると相続放棄ができなくなる可能性もあるため、正規の手続きを踏んで相続財産清算人に遺産を引き継ぎましょう。
 

出典

裁判所 相続の放棄の申述
e-Gov法令検索 民法
裁判所 相続財産清算人の選任
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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