銀行口座は「認知症」で凍結するし、「死亡」でも凍結します。どんな違いがあるのでしょうか?
本記事では、認知症と死亡時における銀行口座凍結の違いについて解説します。
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銀行口座凍結は「認知症」「死亡」で内容は違うのか
死亡や認知症によって名義人が口座を管理できないと判断された場合、銀行側はさまざまな取引を制限します。これを銀行口座凍結といいます。もし凍結したとしても、手続きをすれば再度使用できるようになるため、お金がなくなるわけではありません。
銀行口座が凍結される内容・タイミング・解除方法は、凍結の理由ごとに違います。本章では、それぞれの特徴について解説します。
銀行口座凍結内容の違い
認知症と死亡時における、銀行口座の凍結内容の違いは以下のとおりです。
●認知症……自動引き落としは継続、窓口やATMでの取引はできない
●死亡……すべての取引ができない
認知症の場合、自動引き落としといった一部取引は継続されるものの、それ以外の取引はできません。死亡した場合は、自動引き落としも含めてすべて凍結されます。
続いて、凍結のタイミングも見ていきましょう。
●認知症……銀行が本人の判断能力低下を把握した
●死亡……家族が銀行へ連絡したとき、または銀行が新聞の訃報欄などから情報を得て家族に確認した
銀行が認知症を患ったと把握するのは、キャッシュカードをなくす頻度が高い・暗証番号を何度も忘れる・自分の名前や誕生日を言えないなどの場合です。
また、家族が毎日限度額までお金を引き出す・家族の指示で名義人が窓口でお金をおろそうとする・銀行員に認知症であることを相談した、といったタイミングでも判断される可能性があります。
銀行口座凍結の解除方法の違い
銀行口座が凍結されてしまった場合の解除方法は、以下のとおりです。
●認知症……成年後見制度などを利用する
●死亡……相続人が必要書類を持って銀行窓口で手続きする
認知症の場合、たとえ家族であっても凍結解除はできません。成年後見制度などを利用しましょう。
死亡の場合は銀行に連絡したうえで、相続届や戸籍謄本などの必要書類を持って手続きする必要があります。
銀行口座凍結への備えと注意点
凍結に備えておくことで、認知症になったとしても引き続き取引できるようになります。スムーズに銀行口座を管理できるよう、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。
本章では、銀行口座凍結に備える方法について解説します。また、口座が凍結してしまった後の注意点も紹介します。
銀行口座凍結への備え
認知症に備える方法として以下のものがあります。
●家族信託
●成年後見制度(任意後見制度・法定後見制度)
●生前贈与
家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理を託す仕組みのことです。名義人に判断能力がある時点で制度を利用して備えなくてはなりません。
成年後見制度には2種類あります。任意後見制度とは、認知症になる前に裁判所の監督を受けて事前にお金の管理する人を決めておく制度です。認知症になった後は、法定後見制度を利用できます。法定後見制度では、家庭裁判所が選任した人によって財産が管理されます。
生前贈与でも、口座凍結に備えられます。生前贈与には、相続トラブルを減らせるメリットもあるでしょう。
凍結前に引き出すのは注意
お金が必要だからといって、名義人の死亡を銀行に知らせずに引き出すことはやめましょう。後から借金が見つかっても相続放棄できなくなったり、相続人同士のトラブルにつながったりします。
認知症と死亡による銀行口座凍結の違いを知っておこう
認知症や死亡によって銀行口座が凍結する恐れがありますが、状況によって凍結内容は違います。認知症の場合は、自動引き落としは継続されるものの、死亡の場合はすべての取引ができません。そのほか、口座が凍結するタイミングや解除方法も違う点に注意しましょう。
認知症の場合は、家族信託などによって備えておけば口座内のお金を利用できるようになります。制度を知り、もしものときに備えておくとよいでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー