「空き家所有者」と「利用希望者」のマッチングが可能に！「空き家バンク」制度とは？実家を登録することで「収入源」になる？

使わなくなった実家や長年空き家の物件を放置していると、老朽化や維持費、さらには防犯・防災リスクなど、さまざまな問題が発生します。
 
そんな中、注目を集めている制度が「空き家バンク」です。
 
本記事では、空き家バンクとは何か、その仕組みやメリット、注意点について詳しく解説します。空き家活用の第一歩として、ぜひ参考にしてください。

空き家バンクとは何か？

総務省が公表している「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計（確報集計）結果」によると、2023年時点の空き家は900万2000戸、総住宅数に占める空き家の割合は13.8％と過去最高を記録しており、日本国内における大きな問題となっています。
 
空き家バンクとは、空き家所有者と利用希望者をマッチングするために設けられた情報提供制度です。空き家の利活用を通して、高齢化や人口減少が進む地域に都市部からの移住定住を促進することや、地域の景観・生活環境の保全が目的です。
 
制度開始当初は各自治体が個別に空き家バンクを運営していましたが、2017年からは「全国版空き家・空き地バンク」の運用が開始されました。2025年5月末時点では、全国で62.7％の自治体が「全国版空き家・空き地バンク」に参画しています。
 

空き家バンクの仕組み

空き家バンクの運営は、一般的に以下のような仕組みです。
 

1.空き家物件の登録

空き家所有者から、自治体に物件登録の申し込みを行います。自治体側での審査を経て、物件情報が空き家バンクに掲載されます。
 

2.物件所有者と利用希望者のマッチング

空き家利用希望者は、空き家バンクを通して物件の問い合わせが可能です。内見や条件交渉は、自治体が仲介に入る場合もありますが、多くのケースでは宅建業者などの協力事業者を通すことになります。
 

3.売買・賃貸借契約の締結

条件が合えば、契約を締結します。
 

空き家バンクに実家を登録することで収入源になる？

実家を空き家バンクに登録するだけでは収入は生まれませんが、空き家バンクを経由して発生した売買・賃貸借による不動産収入は、物件所有者のものになります。
 
また、空き家バンクには以下のようなメリットもあります。
 

1.無料で掲載可能

空き家バンクは空き家問題の解決を目的とした制度であり、営利目的のサービスではないため、物件情報を無料で掲載することが可能です。所定の手続きや書類提出は必要ですが、金銭的な負担を気にせず気軽に掲載できます。
 

2.公的機関によるサービス運営

空き家バンクは自治体によって運営されているため、安心してサービスを利用できます。
 
空き家バンクへの登録自体に金銭的な負担は一切ないため、使っていない実家を有効活用して収入を得たい方は、一度自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
 

空き家バンク登録に関する注意点

空き家所有者にとって多くの利点がある空き家バンクですが、すぐに借り手が見つかるとは限りません。
 
空き家バンクは、あくまで空き家所有者と利用希望者のマッチングサービスであり、不動産会社のような営業活動は行われません。空き家バンクに物件を登録しても、すぐに借り手が見つからない可能性は想定しておく必要があるでしょう。
 
また、物件所有者と利用希望者が、直接やり取りをすることを前提としている自治体もあります。不動産会社との連携や行政による仲介がなく、貸し手と借り手が直接交渉することになります。
 
そのような場合は、契約上のトラブルを避けるため、不動産会社に仲介を依頼することを検討した方がいいでしょう。
 

空き家バンクに実家を登録すると、不動産収入を得られる可能性がある

空き家バンクは、公的機関による空き家所有者と利用希望者のマッチングサービスです。登録だけでは収入は発生しませんが、利用希望者が現れれば不動産収入を得ることができます。
 
公的機関によるサービスであり、掲載費用もかからないため、使わなくなった実家を有効活用したい方には魅力的な制度といえるでしょう。
 

出典

総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計（確報集計）結果（2ページ）
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー