叔父や叔母から相続すると相続税は「2割増し」に!? 加算される対象や計算方法はどうなるの?

配信日: 2025.06.20 更新日: 2025.07.02
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叔父や叔母から相続すると相続税は「2割増し」に!? 加算される対象や計算方法はどうなるの?
遺言書に書かれていたなどの理由で、亡くなった人の配偶者や子どもだけでなく、甥や姪、孫も遺産を相続するケースがあります。この場合、相続税は子どもや配偶者が相続するよりも金額が2割多くなる可能性があるため、計算方法を確認しておきましょう。
 
今回は、甥や孫の相続税が2割増える理由や、計算方法などについてご紹介します。
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相続税額が2割増える理由

相続税法第18条によると、亡くなった本人(被相続人)から見て1親等の家族、また配偶者以外の人が相続する場合、100分の20に相当する金額を加算すると定められています。
 
叔父や叔母から相続した場合、甥や姪は3親等に該当するため、代襲相続でなければ相続税額は20%増加するでしょう。また、代襲相続(※)を除いて孫が相続する場合も、本人から見て2親等に当たるため2割加算の対象になります。
 
※代襲相続:本来相続人となるはずだった人が、被相続人より先に死亡したなどの理由で相続権を失った場合に、その人の子どもなどが相続人となること
 
加算されるのは、各相続人の負担する税額を計算したあとに、該当する人物に対してです。そのため、2割加算の該当者がいるときの相続税額は、以下の手順で計算します。
 

(1)遺産総額から亡くなった本人の債務や葬式費用などを引く
(2)(1)の金額に暦年贈与のうち相続財産の加算対象となるものを加える
(3)(2)から基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を引く
(4)(3)の金額を法定相続分で分配したと仮定して、各法定相続人の税額を計算する
(5)(4)で求めた相続税額を合計し、実際の相続割合で各相続人に分ける
(6)控除がある人は控除をし、相続人ごとの税額を求める
(7)2割加算の対象者は(6)の税額の120%を支払う

 

甥や姪が相続するときの税額はいくらになる?

今回は、以下の条件で甥が相続したときの税額を求めてみましょう。
 

・葬式費用などを差し引いた遺産総額は6000万円
・遺言により、相続するのは亡くなった本人の子ども2人と甥1人
・法定相続人は子ども2人のみ
・相続金額は2000万円ずつ
・基礎控除以外の控除は考慮しない

 
まず、相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」で求められます。今回のケースでは、法定相続人は子ども2人のみのため、基礎控除額は4200万円です。基礎控除を差し引いた1800万円が課税対象になります。
 
まずは法定相続人で分けた相続税額を求めましょう。子ども2人の場合、法定相続分は2分の1ずつです。そのため、900万円ずつを相続したとして相続税額を求めると、1人につき税率は10%、90万円ずつで合計180万円の相続税が生じます。
 
実際には3人で3分の1ずつ相続しているため、相続税額が子どもは1人当たり60万円です。甥は2割加算が適用されるため「60万円×120%」で72万円の相続税が課されるでしょう。
 

法定相続人でない人が相続するときの注意点

基本的に、遺言がなければ法定相続人以外は相続できません。甥や姪が法定相続人になるとしたら、亡くなった人の兄弟が法定相続人となる予定だったものの、その兄弟も亡くなっていたために代襲相続人となるケースです。
 
代襲相続人でないのなら、たとえ亡くなった人が生前「甥に財産を分ける」と口頭で伝えていたとしても、遺言書がなければ証拠がありません。この場合は法定相続人のみで分けることになるでしょう。
 
もし遺言書がない状態で遺産を受け取りたいのであれば、法定相続人の誰かから贈与される形で受け取ることになります。この場合、かかるのは相続税ではなく贈与税です。贈与税は相続税よりも税率が高いため、支払う税金が多くなるでしょう。
 
例えば、いとこから2000万円を贈与の形で受け取るとします。基礎控除110万円を引いた1890万円が課税対象となり、税率が50%、控除額は250万円なので、贈与税は695万円です。
 
遺産として相続したときの相続税額より、623万円も多くなります。もし叔父から「遺産を分けてあげる」と言われたときは、遺言書を残してもらうことでトラブルなく遺産を受け取れるでしょう。
 

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1親等と配偶者以外は相続税が2割多くなる

相続税は、基本的に亡くなった人から見て1親等もしくは配偶者でなければ、通常の方法で計算した相続税に2割加算した金額を負担することになります。相続税の申告時には間違えないようにしましょう。今回のケースでは、同じ金額を相続した子どもに比べて甥の負担額は12万円多くなります。
 
なお、叔父や叔母から遺産を相続できるのは、遺言書で指定されているときです。甥や姪は代襲相続人でなければ法定相続人には含まれていないため、遺言がなければ相続できません。被相続人となる叔父や叔母の生前に遺言書を書いてもらうよう可能であれば伝えておきましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4157 相続税額の2割加算 概要
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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