亡き父のスマホに「電子マネー2万円」…このお金、使うのはNG?払い戻しはできるのでしょうか?
しかし、故人の電子マネーは法的に相続財産と見なされるため、取り扱いには注意が必要です。
この記事では、電子マネーの相続に関するルールや、適切な手続きについて解説します。
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故人の電子マネーは相続財産
亡くなった方が所有していた前払い型の電子マネーの残高は、現金や預貯金などと同じように、法律上「相続財産」として扱われます。国税庁によると、相続税の課税対象は、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」とされています。したがって、電子マネーも相続財産のひとつです。
ただし、相続財産であることと、実際に相続人が引き継いで利用したり、現金として払い戻したりできるかは別の問題のようです。その可否は、電子マネーの種類や、サービスを提供する事業者の利用規約によって対応が異なります。
事業者ごとに異なる相続の対応
電子マネーの相続手続きは、事業者ごとに定められた規約に基づき行われます。
例えば、交通系ICカードであるJR東日本の「Suica」は、利用者の死亡後に手続きをすることで、手数料を差し引いた残高の払い戻しが可能です。手続きには、亡くなった事実が確認できる公的証明書や、返金を受けようとする方の本人確認書類などが必要となります。
一方、QRコード決済サービスでは、アカウントの譲渡や貸与は利用規約で禁止していることが多いですが、相続については対応が認められるケースもあります。例えばPayPayでは、利用者が亡くなった場合、所定の手続きを進めることで相続人に残高が払い戻される仕組みとなっています。
なお、電子マネーの相続手続きや対応はサービスごとに異なるため、まずは故人が利用していた電子マネー事業者のウェブサイトで利用規約を確認するか、カスタマーサービスに問い合わせて、相続の取り扱いについて確認することが重要でしょう。
勝手な使用は「単純承認」になるリスク
遺された電子マネーを相続手続きを経ずに勝手に使用してしまうと、法的に大きな問題が生じる可能性があります。
最も注意すべき点は、相続方法の「単純承認」と見なされるリスクです。相続人が故人の財産の一部でも使用・処分した場合、すべての遺産を無条件に相続する「単純承認」をしたと法的に判断されます。
もし故人に多額の借金などのマイナスの財産があった場合、この借金もすべて相続人が引き継がなければならなくなります。
本来であれば、財産を一切相続しない「相続放棄」や、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する「限定承認」といった手続きを選択できたはずが、電子マネーの少額利用によってその権利を失ってしまう可能性が出てくるでしょう。
また、他に相続人がいる場合、故人の財産を無断で使用することは、後の遺産分割協議でトラブルに発展する原因にもなります。
故人の電子マネーは使わずにまず確認を
故人のスマートフォンにある電子マネー2万円分は、たとえ少額であっても故人の財産の一部です。
まずは相続財産として認識し、他の相続人がいる場合はその情報を共有しましょう。その上で、該当する電子マネー事業者の利用規約を調べ、定められた相続手続きについて問い合わせることが先決です。
もし手続きが複雑であったり、他にどのような遺産があるか不明であったりして判断に迷う場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
出典
東日本旅客鉄道株式会社
PayPay株式会社 PayPay残高利用規約
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー