祖父が亡くなった翌年に母も他界…母が去年相続した「5000万円」も今回の相続税の課税対象になりますか?

配信日: 2025.06.27 更新日: 2025.07.02
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祖父が亡くなった翌年に母も他界…母が去年相続した「5000万円」も今回の相続税の課税対象になりますか?
状況によっては、祖父母や父親が亡くなって数年もたたずに母親が亡くなる、というケースもあり得ます。この場合、相続をした財産は母親が以前相続した分も含まれており、自身が相続したときの税額計算がどうなるか分からない人もいるでしょう。
 
今回は、立て続けに親や祖父母が亡くなったときに利用できる控除や、相続税の計算例などについて紹介します。
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立て続けに親や祖父母が亡くなったとき相続税はどうなる?

基本的に、相続は亡くなった本人が所有していたすべての財産が対象になります。たとえ1年前に母親が相続した財産だとしても、亡くなった時点で母親の所有物のため、相続財産として加算され、金額によっては相続税も発生するでしょう。
 
ただし、1年や2年など短い間に相続があると、そうでない場合と比べて相続税の負担割合は大きくなるとされています。こうした負担の増加をおさえるため、「相次相続控除」が設けられています。
 
国税庁によると、相次相続控除では、以下の条件を満たしていると一定金額を相続税から控除できます。

●そのとき亡くなった人(被相続人)の相続人である
●該当の相続が開始する10年以内に被相続人が相続で財産を受け取っている
●上記の財産について被相続人が相続税を支払っている

例えば、母親が1年前に祖父の遺産を相続して相続税を課税されており、その後母親も死亡して子どもが相続人となったときは、相次相続控除の対象になるでしょう。しかし、母親が相続税を支払っていなければ、条件を満たさないため対象にはなりません。
 

相次相続控除の計算方法

国税庁によると、相次相続控除は以下の5つの数値を使用します。

A:今回亡くなった人が前の相続で支払った相続税額
B:今回亡くなった人が前の相続で受け取った純資産価額
C:今回の相続で相続人や遺贈を受けたすべての人が受け取った純資産価額の合計額
D:相次相続控除を受ける人が受け取った純資産価額
E:今回亡くなった人が前に相続したときから今回の相続が始まるまでの期間(1年未満切り捨て)

そして、計算式は「A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10」です。C/(B-A)の部分は、最大100/100とします。
 
通常の方法で相続税額を求めたあと、計算式を用いて税額控除される金額を求めましょう。
 

相次相続控除を用いた相続税の計算例

祖父が死亡した1年後に母親が亡くなった場合、相次相続控除で税額がどうなるかを見ていきましょう。条件は以下の通りです。

●祖父が亡くなったときに母親が1人で5000万円すべてを相続
●母親が亡くなったときの遺産は母親が相続したものと合計して7000万円
●母親からの相続には遺贈や相続時精算課税にかかる贈与がない
●債務および葬式費用などの金額は考慮しない
●父親は既に死亡している
●母親の法定相続人は子ども1人

まず、母親が条件の通りに祖父から相続したときの相続税額は160万円です。次に、子どもが1人で母親の遺産7000万円を相続した場合、480万円の相続税が課されます。
 
これらを相次相続控除の計算式に当てはめると「160万円×7000万円/(5000万円-160万円)×7000万円/7000万円×(10-1年)/10」です。計算をすると、税額控除は144万円になり、子どもの支払う相続税額は336万円になります。
 

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課税対象にはなるが母親が相続税を支払っていれば今回の税額が軽減される可能性がある

もし立て続けに身近な人が亡くなり、相続が続いたときは一定条件を満たしていると相次相続控除を受けられます。父親や祖父母が亡くなったあと10年以内に母親が亡くなった場合は、母親が相続したときに相続税を支払っていれば控除の対象です。
 
しかし、もし父親からの相続で母親が配偶者控除を利用して前回は相続税を支払っていなければ、相次相続控除は利用できません。
 
相次相続控除は計算が複雑で、今回の相続の税額や遺産だけでなく、亡くなった人が前回支払った税額や受け取った遺産額なども把握する必要があります。もし自分だけでは難しいと感じるときは、税理士などの専門家を頼るとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4168 相次相続控除
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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