母の死後、評価額「1000万円」の「実家を相続」するかもしれません。どのような「準備」をすればよいでしょうか?
今回は、家を相続したときに取れる方法を、それぞれの特徴とともにご紹介します。
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相続した家にも固定資産税がかかる
固定資産税は該当する財産を所有していれば課される税金です。相続した家の持ち主は相続人なので、固定資産税の課税対象となります。
総務省によると、固定資産税の求め方は「課税標準額×税率(標準税率は1.4%)」です。仮に評価額と課税標準額が同じで、評価額が1000万円だった場合、固定資産税は14万円かかります。さらに、固定資産税は毎年課される税金です。
なお、評価額は3年ごとに変わるため、一度評価額が決まったあとは少なくとも3年間同じ金額を納税しなければなりません。仮に相続をしたタイミングが1年目だったとすると、相続してからの3年間で固定資産税は「14万円×3年」の42万円が課されます。人によっては、固定資産税の支払いで家計に大きな影響が出る場合もあります。
3年目以降の評価額は下がる可能性があるものの、相続をした時点で相続税以外の税金負担がかかることは理解しておきましょう。
相続後に売却すると翌年以降の固定資産税はかからない
もし相続した年のあいだに家を売却した場合は、翌年以降の固定資産税はかかりません。固定資産税は、1月1日時点での所有者に対して課されるためです。
ただし、家を売却することで譲渡所得の対象になる場合があります。譲渡所得は、土地や建物を売却した際の所得を指します。
譲渡所得は分離課税のため、ほかの所得とは合算せずに譲渡所得のみでの計算が必要となります。また、譲渡した建物の所有期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分かれており、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得になります。
例えば、1000万円の実家を相続してすぐに売却したとしましょう。このときの所有期間は亡くなった本人が所有を始めた日から計算されるため、実家であれば長期譲渡所得が該当する可能性があります。
国税庁によると、実家を売却した際、長期譲渡所得のときの税額は、以下の手順で求めます。
(1)売却費用から取得費や譲渡するための費用、特別控除額を差し引く(課税譲渡所得金額)
(2)課税譲渡所得金額×15%が支払う所得税額
(3)所得税額から税額控除を差し引いたあとの金額×2.1%が支払う復興特別所得税額
(4)課税譲渡所得金額×5%が支払う住民税額
なお、特別控除額は条件を満たした場合に適用されるもので、状況によっては適用されないケースもあります。もし1000万円の家の売却に際して、特別控除額や税額控除が適用されず、各費用もかからなかったとすると、各税額は以下の通りです。
●所得税額:1000万円×15%=150万円
●復興特別所得税:150万円×2.1%=3万1500円
●住民税:1000万円×5%=50万円
しかし、相続した家の売却で特例が適用されると特別控除額が最大3000万円のため、課税されない可能性があります。
相続放棄という手段も
相続をするつもりがなく、家の管理や売却手続きもしたくないという場合には、相続放棄も選択肢の1つです。相続放棄をすると相続人でなくなるので、家の相続に関する手続きもせずに済みます。
ただし、相続放棄は自身が相続開始を知った日から3ヶ月以内に裁判所へ手続きをしなければなりません。3ヶ月を過ぎると相続放棄できなくなる可能性があるので注意しましょう。
また、相続放棄は相続にまつわるすべての権利の放棄なので、仮にあとで新たな財産が見つかったとしても、相続放棄をすでにしていれば相続はできないでしょう。相続放棄の選択をするときは、本当にほかに財産がないのか、相続しなくてもよいのかをしっかり考えて決めることが大切です。
管理や売却、相続放棄などのうちどれにするか考えておく
実家を相続した場合、そのまま相続して管理する方法と、売却をして現金化する方法、また相続放棄をして実家の相続権自体をなくす方法があります。どの選択肢もメリットとデメリットがあるので、自身に合う方法を見つけるとよいでしょう。
実家の相続が母親の生前で分かっているなら、ある程度かかりそうな税金の計算をしておくことがおすすめです。母親が亡くなったあとに、相続放棄をしなかった場合にどれくらいお金が必要になるかの目安になるでしょう。
出典
総務省 固定資産税
国税庁 土地や建物を売ったとき
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー