父から相続した「古い実家」を壊して駐車場にしたい!「空き家を壊すと固定資産税が高くなる」という噂は本当でしょうか…?
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空き家を壊すと「住宅用地の特例」が適用されない
「空き家を解体すると固定資産税が高くなる」といううわさは、固定資産税における「住宅用地の特例」という取り扱いに由来すると考えられます。
「住宅用地の特例」とは、200平方メートル以下の「小規模住宅用地」では固定資産税の課税標準額が「評価額の6分の1」、200平方メートルを超える「一般住宅用地」では「評価額の3分の1」に軽減される制度のことです。
空き家を壊してさら地にした場合はこの特例から外れるため、一見すると固定資産税が6倍または3倍になってしまうように見えるかもしれません。しかしながら、固定資産税には前年度の標準課税額に応じた倍率で税額を算出する「負担調整措置」という制度があり、突然跳ね上がることがないように配慮されています。
このことから「空き家を壊すと固定資産税が高くなる」可能性があるのは事実ですが、いきなり6倍になるといった風説は誤りといえるでしょう。
「古い実家」の放置は厳禁
しかしながら、固定資産税への対策として「空き家をそのままにする」ことはおすすめできません。もし古い実家を放置した場合「特定空家」となる可能性があるためです。特定空家は以下のような空き家と定義されています。
●そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家に該当してしまった場合、先述の「住宅用地の特例」からは除外となり、税制上の優遇を受けることができなくなります。放火や不法侵入・占拠といった犯罪の温床となる可能性もあるため、税金対策としての放置は得策とはいえないでしょう。
空き家になった実家を放置しないための対策
ここでは、空き家を放置しないために考えられる対策を、駐車場用地化以外で2つ取り上げてご紹介します。
1.特別控除を利用できるうちに手放す
相続した空き家を売却する場合には、一定の条件の下で譲渡所得から最大3000万円までを控除することが可能です。控除を受けるには、「昭和56年5月31日以前に建築」「区分所有建物登記がされている建物」「相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった」の3点すべてに該当する必要があります。
本記事の執筆時点では、令和9年12月31日までが適用期限となっているため、土地・建物の評価額によっては早期に手放してしまうのも方法の一つでしょう。
2.空き家バンクを活用する
空き家バンクは、自治体が運営する空き家・空き地専門のマッチング制度で、登録しておくことで買い手・借り手募集の間口を広げることができます。ただし、自治体は不動産業者とは異なり積極的な広告・宣伝を行うわけではないため、あくまで補助的なものと考えましょう。
まとめ
「負担調整措置」の存在により、空き家を解体しただけで固定資産税が突然跳ね上がる可能性は低いと考えられます。駐車場として利用する場合は、立地次第でコインパーキングなど資産形成の一環として活用できるケースもあるため、検討の余地は十分にあるでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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