家を売って「1000万円」利益を得たという友人。私は「家を子どもに残したい」と思っていますが、売るべきでしょうか? 「持ち家」の行く末、みんなどうしてる?
相続したものの管理できずに放置されている空き家は今後さらに増加し、より大きな社会問題になる可能性が指摘されています。今回は、親の持ち家をどうするかについてまとめました。
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目次
家を子どもに残したい? 子ども世代の考えは?
日本では長らく、マイホームは最大の資産であり、子どもや孫への「財産」として受け継ぐものとされてきたといえます。ローンを完済し、苦労して手に入れた持ち家を次世代に引き継ぎたいと考えるのは自然なことでしょう。
しかし、空き家が増加し問題になっていることを知る親世代の意識は、変わってきているのかもしれません。
また、子ども世代は就職、転職、転勤などにより、親の家を相続して住むことを選択しない(住みたくない)ケースも増えていると考えられます。
持ち家をどうする?
持ち家の対処法として挙げられるのは、以下のような方法です。
●子どもに住んでもらう
●売却し、現金で資産化
●賃貸やリフォームによる活用
●更地にして売却・利用
子どもに住んでもらう方法は、家を残したいと希望する親にとって最も理想的なケースといえますが、引き継がれない可能性があります。
住宅の状態や立地にもよりますが、市場価値があるうちに売却して現金化し、相続人で分配すれば、トラブル予防や相続税資金の確保にもなるでしょう。
そのほか、賃貸住宅にしたり、リフォームして民泊やシェアハウスとして運用したりする手法もあります。固定資産税や維持コストを賃料収入でカバーできることが期待できますが、貸すためのリフォーム費用や管理の手間を考慮する必要があるでしょう。
老朽化が進み、資産価値が望めない場合は、更地にして売却、または駐車場など別用途で運用することも検討するとよいかもしれません。しかしその場合、解体費用がかかることや、更地にすると固定資産税が上がる点には注意が必要です。
持ち家の資産価値と相続の注意点
築年数の経過や地方の人口減少などにより、持ち家の資産価値が下がるケースも珍しくありません。
首都圏や都市部の一部マンション・一戸建て住宅は高い資産価値を保つ場合もありますが、一般的に、多くの住宅は築20〜30年以上が経過すると資産価値が大幅に下がるといわれています。管理や修繕が遅れると売りたくても売れないという状態になりかねません。
株式会社オープンハウスグループと株式会社LIFULLの調査によると、「売却した際に苦労したことや後悔したこと」という問いに対し、39.1%が「思うような価格で売れなかった」と回答しています。その具体的な理由として、「買い手が見つからなかった」「査定よりも価格が下がった」などが挙げられました。
また「残置物の整理や取り壊し、修繕などに時間とお金がかかった」との回答は16.3%に上りました。
家は、相続すると実際に住まない場合でも、固定資産税などの税金が発生します。また、不動産は分割しにくく、相続争いの火種になることも考えられ、特に相続人数が多い場合などは注意が必要でしょう。
空き家化した結果、行政から管理責任を問われるケースや、老朽化による倒壊の危険性や近隣トラブルが増えることも予測されます。
持ち家と子どもの将来のために大切なこと
持ち家については、親世代も子ども世代も、早いうちから相続対策を見越して準備することが大切です。親世代の意思確認や子ども世代の継承意思の確認、将来の分割や管理方針など、家族間でよく話し合いましょう。
必要に応じて不動産会社や相続の専門家に相談することも、将来のトラブルを防ぐ対策の1つといえます。
価値観が多様化する中、親が望んでも子どもは持ち家を継がない可能性がある。親世代も子ども世代も早いうちから対策を考えよう
「家を子どもに残したい」という思いは決しておかしなものではありません。しかし、価値観が多様化し、相続した子ども世代の苦労や空き家問題などが話題となる中、親世代の中でも、必ずしも持ち家を子どもが継ぐ必要はないと考えている場合もあるでしょう。
持ち家の資産価値や相続の実情、生活に合わせた最適な方法を見極め、家族全員が納得できる形で、家をどうするかについてよく話し合い、決めることが大切です。
出典
株式会社オープンハウスグループ 株式会社LIFULL 「家じまいに関する意識調査」発表
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー