母の遺品から「1000万円を超えるタンス預金」を発見!相続もすべて完了しており、今さら「相続税の申告」はしなくても大丈夫でしょうか?
配信日: 2025.07.04

本記事では、相続を終えた後に故人のタンス預金を発見したケースについて解説します。

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後から出てきた遺産は相続税の「修正申告」が必要
相続税の申告後に追加で遺産が発見された場合、相続税の「修正申告」が必要となります。修正申告とは、相続税に誤りがあった際に修正を行う手続きです。相続税には、10ヶ月の申告期限があります。この期限内に申告を行った後、同じく期限内に内容を訂正する手続きは、修正申告ではなく「訂正申告」になります。
また、期限外であってもケースによっては修正申告ではなく「更正の請求」が必要です。既に申告していた額が実際の金額よりも多く、相続税を払いすぎていた場合は更正の請求を行うことにより、還付を受けることができます。
いずれの手続きも、国税庁のホームページから様式をダウンロードすることが可能です。提出は、郵送やインターネットで行うことができます。
相続税の「修正申告」が必要な3つのケース
以下は、修正申告が必要になるケースの例です。
・誤った税額の申告
既に申告した税額が誤っていた場合、修正申告が必要です。具体的なケースとしては、税率の計算間違いなどが挙げられます。自力での手続きに不安があるようであれば、税理士などの専門家に依頼しましょう。
・申告後に財産が見つかった
故人しか保管場所を知らなかった財産が、申告後に見つかるケースもあります。この際も訂正申告または修正申告が必要です。いわゆる「タンス預金」に多く、申告の他にも、遺産分割協議のトラブルにつながるリスクもあります。追加で財産が見つかった際に誰が相続するのか、といった事柄をあらかじめ決めておくことで、不測の事態にも対応できるでしょう。
・みなし相続財産
みなし相続財産とは、厳密には故人の財産ではないにもかかわらず、相続税の計算対象となる財産のことを指します。例としては死亡退職金、死亡から3年以内の贈与財産、死亡保険金などです。こういった財産は相続税の対象であるという知識がないまま受け取ると、申告漏れが生じてしまうこともあるため、発覚した際は修正申告が必要です。
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「修正申告」を怠るとペナルティーが科されるケースも
修正申告は基本的に「申告側の誤り」として扱われるため、相続税の差額に加えてペナルティーとして「延滞税」を支払うことになります。もし「延滞税を払いたくないから、申告しない」という考えが頭に浮かんでも、その選択はおすすめできません。
なぜなら、税務署には財産の動きに関して、広範にわたる調査権限が設けられているためです。また、税務署に指摘されてからの納税は附帯税が加算されることもあるため、税負担がさらに重くなってしまいます。「無申告」は多大なリスクを伴うため、後から遺産の存在が発覚した際は、早めの申告を心がけましょう。
表1は修正申告を怠った場合に加算される附帯税の一覧です。
表1
適用ケース | 名称 | 税率(パーセント) |
---|---|---|
修正申告 | 延滞税 | 2.4~14.6 |
税務署からの指摘後 | 過少申告加算税 | 5~15 |
重加算税 | 35 |
※筆者作成
延滞税は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは一年あたりプラス2.4〜7.3パーセント、それ以降は8.7〜14.6パーセントです。それぞれ年度によって税率は異なります。
まとめ
相続税の申告後に故人の遺産が追加で発見された場合、10ヶ月の申告期限以内であれば訂正申告、期限後であれば修正申告が必要です。修正申告を行うと延滞税が加算されますが、手続きを怠ると過少申告加算税・重加算税などのペナルティーが科されます。もしも、相続税の申告後にタンス預金を発見した場合は、速やかに申告を行いましょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー