「マンション」を親と「共有名義」で購入できると聞きました。相続税評価額「5000万円」の場合、親が亡くなると「相続税」は課されるのでしょうか?
配信日: 2025.07.05

今回は、共有名義のマンションを持っている状態で、親が亡くなったときの相続税や、共有名義でマンションを持つときの注意点などについてご紹介します。

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共有名義とは
共有名義とは、一人ではなく複数人の名義でマンションや一軒家などを購入することです。購入するときに各名義人の持ち分を決めて登記します。
共有名義のメリットは、一人では資金不足で購入できないマンションでも親子の資金を合わせることで購入できるようになることです。なお、のちのトラブルを防ぐために、持ち分は実際に費用負担したのと同じだけの割合で登記しましょう。
名義の片方が亡くなると相続税はどうなる?
親との共有名義のマンションを持っていて親が他界すると、親の遺産として加算されるのは親の持ち分のみです。ほかの遺産と合計して親の持ち分が基礎控除額を超えていなければ、相続税は課されないでしょう。
また、課税される場合も、子どもが保有している分は含めないため、親が一人でマンションを保有するときよりも安くなる可能性があります。そこで、マンションを相続したときに親名義のときと親子共有名義での税額の差を比較してみましょう。条件は以下とします。
●マンションの相続税評価額5000万円
●共有名義の場合は2000万円を親、3000万円を子どもの持ち分とする
●マンション以外の相続財産は2000万円
●相続人は共有名義の子ども一人のみ
●葬式費用などは考慮しない
まず、親一人の名義だったときの税額を求めましょう。この場合、相続した遺産は合計7000万円になります。国税庁によると、相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人数」で求められるため、今回は3600万円となります。そのため、3400万円に対して税金が発生することになるでしょう。
3400万円のとき、税率は20%、控除額は200万円のため、税額は480万円です。
一方、共有名義にしていると、相続金額は4000万円になります。基礎控除を引いた400万円が課税対象です。
400万円のとき税率は10%のため、税額は40万円です。親一人のときの名義と共有名義のときで比較すると、税額に440万円の差があります。
共有名義でマンションを購入すると、節税にもつながるといえるでしょう。
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共有名義でマンションを購入するときの注意点
親子共有名義でマンションを購入した場合で、親に複数人の相続人がいると、親が亡くなった際に相続トラブルに発展する可能性があります。相続の対象は親の持ち分のみになりますが、その持ち分は共有名義をともにしていた子どもが均等に相続できるとは限りません。
遺言で指定されていなければ、遺産は相続人遺産分割協議をして分配割合を決めるか、決まらなければ最終的に法定相続分で分けることになるためです。共有名義だった子どもからすると、実際には減っていないものの自身の取り分が減ったと感じる人もいるでしょう。
相続トラブルを防ぐためには、亡くなるまでに名義を子どものみにしたり、相続人間で受け取る遺産が平等になるよう遺言書を書いておいたりするとよいでしょう。
相続税の課税対象になるものの節税効果が期待できる
親子の共有名義では、一人で購入するよりも負担を軽くしてマンションを購入できます。その後、もし親が亡くなると親の財産として課税対象にはなりますが、加算されるのは親の持ち分のみなので、親が一人でマンションを保有していたときと比較して、相続税額は安くなるでしょう。
一方で、相続人が複数いた場合、共有名義のマンションの相続に関してトラブルに発展する可能性があります。事前に子ども一人の名義に変更したり、遺言書で遺産分割内容を指定したりするといった対策をしておくと、トラブルを防ぎやすくなるでしょう。
出典
国税庁 財産を相続したとき
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー