父の遺品整理で「500万円の借用書」発見! 「相続手続き」が終わっていても「支払い義務」は発生する?

配信日: 2025.07.09
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父の遺品整理で「500万円の借用書」発見! 「相続手続き」が終わっていても「支払い義務」は発生する?
「父の遺品整理が終わり、相続手続きが完了した後に500万円の借用書が出てきた」というケースでは、実際に借金の支払い義務が発生するのか、分からない人もいるでしょう。
 
そこで今回は、相続手続き後に発覚した借金の支払い義務について解説します。借金が発覚した際の対処法や、故人の借金の有無を調べる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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相続手続き後に見つかった借金も支払い義務がある

民法第896条には「相続人は被相続人の財産に属したすべての権利義務を承継する」と書かれており、相続人は基本的に借金などのマイナスの財産も相続しなければなりません。
 
そのため、遺品整理後に見つかった借金についても、相続人に支払い義務が発生する可能性があります。しかし「相続放棄」や「限定承認」の手続きによって、借金の支払い義務を消滅させることが可能です。
 

相続放棄と限定承認

相続放棄とは、相続人が相続の権利すべてを放棄することです。借金だけではなく、プラスの財産も相続しないことになります。
 
また、限定承認とは相続で得たプラスの財産の範囲内で借金を相続することです。プラスの財産を超える借金を背負う必要がないため、借金だけが残ることは避けられます。
 
相続放棄・限定承認のいずれも相続が開始した時点から3ヶ月以内に手続きする必要があります。また、相続放棄は相続人単独で行えますが、限定承認は相続人全員で行わなければなりません。
 
ただし、民法第915条には「相続の開始を知ってから」と書かれており、相続手続き後に発覚した財産については、その時点から3ヶ月以内の承認手続きが認められるケースがあるようです。
 
表題の「遺品整理で500万円の借用書が見つかった」ケースでは、借用書があることを知らなかった理由を申請することで、期限の延長が認められる可能性があります。
 

遺品整理後に借金が発覚した場合の対処法

遺品整理後に借金が発覚した場合、すべての権利を相続して借金の支払いを行うか、相続放棄や限定承認を行い、支払い義務を免れるかの2択となるでしょう。
 
相続人に財力があるケースでは、発覚した借金をそのまま返済することも考えられます。債権者とのトラブルも免れ、大きな問題も起きないでしょう。また、相続放棄や限定承認の手続きが可能なケースでは、借金を背負う必要がなくなり、返済で悩まされることもありません。
 
しかし、多額の借金を背負うことになり、自分の財力で支払えないケースでは、債権者とのトラブルに発展する可能性があります。この場合、債務整理を検討する必要があるかもしれません。
 
債務整理とは、任意整理や個人再生・自己破産など、返済の免除や減額・返済期限の延長などを行い、債務者の負担を軽減する救済措置です。必要であると判断した場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
 

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故人の借金の有無を調べる方法

相続後の故人の借金トラブルを回避するためにも、事前に故人の借金を調べておくとよいでしょう。故人の借金を調べる方法は、以下の通りです。


・信用情報機関に問い合わせる
・故人の持ち物で調べる
・故人の預金口座の取引履歴を確認する

借金の有無について調べるときは、信用情報機関に問い合わせることをおすすめします。個人の信用取引は、信用情報機関のデータベースで記録されており、各種ローンの実績やクレジットカードの利用実績などを調べられるそうです。
 
このことを情報開示の請求といい、原則として本人しか請求できません。ただ、例外的に父親など故人の開示請求も認められています。
 
また、個人の持ち物や預金口座履歴からも借金の有無を調べられる可能性があります。借用書や金融機関からの郵便物があるケースでは内容をしっかりと確認して、既存の借金があるか確認しましょう。預金口座も同様に、借金の返済履歴が残っているかもしれません。
 
このように、プラスの財産だけではなく借金の有無や返済残高を調べておくことで、相続時に相続放棄や限定承認などの対策が打てます。後から借金が発覚すると、十分な対応が取れず大きな負担となる可能性があるため、事前の対策が重要となるでしょう。
 

基本的に相続手続き後に発覚した借金も相続することになり、返済義務が発生する

基本的に、相続人は被相続人のすべての権利を相続することになるため、遺品整理後に発覚した借金も支払い義務が発生します。
 
しかし、相続時に知らなかったことを明確にする理由があるケースでは、相続放棄や限定承認の手続きが間に合うかもしれません。借金の存在が発覚した時点で、弁護士や裁判所に相談しましょう。
 
また、相続が開始した時点で借金の有無をしっかりと調べておくことで、のちのトラブルを回避できる可能性があります。プラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産もしっかりと確認しておきましょう。
 

出典

e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百十五条(相続の承認又は放棄をすべき期間)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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