80歳の母が「1000万円以上」のタンス預金を貯めこんでいることが判明!タンス預金は「相続税対策」にはならないの?
本記事では、タンス預金の相続税対策について、メリット・デメリットや具体的な対策方法を解説します。
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タンス預金は「相続税対策」にはならない
タンス預金は、相続税対策にはなりません。隠しておこうと思っても、税務署で厳しく調査されるので注意しましょう。税務署は、被相続人だけでなく家族の口座やお金の使い方も調査します。
そのため、代わりに家族の口座に入金したり、使ったりしても調査によりすぐに分かってしまうのです。高額なタンス預金は、税務署に把握されやすく、隠そうとすると重加算税や延滞税などのペナルティが課せられることもあります。
「タンス預金」のメリット・デメリット
タンス預金のメリットとデメリットをそれぞれ確認していきましょう。
メリット
1.金融破綻から資産を守れる
銀行のペイオフ制度では、1000万円以上預金している銀行が破綻した際、1000万円を超えた預金は保証対象外となる場合があります。そのため、銀行破綻するような事態がおこっても資産を守れる点がメリットの一つのです。
2.口座凍結の影響を受けない
家族が亡くなると、故人の預金口座は凍結され、お金を引き出せなくなります。その際、葬儀費用にまとまったお金が必要になるため、手元に現金があると困らない可能性もあります。
デメリット
1.紛失・盗難や災害のリスクがある
紛失や盗難にあうおそれがあるため、タンス預金にはリスクがあります。また、地震や火災で現金を紛失したとしても、現金は地震保険・火災保険の対象外のため、取り戻すことは困難です。
2.相続トラブルに発展するおそれがある
タンス預金は、相続トラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要です。故人の近親者に無断で持ち去られてしまった場合、遺産分割協議がうまく進められないケースもあります。
いまからでもできる「高額なタンス預金」への対策
ここでは、いまからでもできるタンス預金の対策を紹介します。
1.複数回に分けて銀行に入金する
タンス預金を銀行へ預けることによる税金はかからないため、紛失や盗難リスクから守るためにも、口座に預金することがおすすめです。しかし、一度に多額の現金を預けると、疑わしい取引として目的を聞かれる場合があるため、複数回に分けて入金するといいでしょう。
2.生前贈与を検討する
生前贈与とは、被相続人が存命中に財産を渡すことです。相続税を節税できたり、贈与する人の意思を尊重できたりするメリットがあります。生前贈与には、「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2つの制度があります。
暦年贈与とは、1年間に受けた贈与に対して課税する制度です。相続時精算課税とは、贈与者の受贈者が一定の要件を満たすときに利用できる制度です。
3.その他非課税制度の活用
・住宅取得等資金の非課税制度
直系尊属から贈与を受け、新築の対価に充てる金銭を取得した場合、一定の要件を満たすときに贈与税が非課税となる制度です。
・結婚・子育て資金の非課税制度
結婚や子育てに活用する資金を贈与する場合、1000万円までの一括贈与が非課税になる制度です。
・教育資金の非課税制度
条件を満たす場合、直系尊属への教育資金が1500万円まで非課税で贈与可能になる制度です。
まとめ
タンス預金は、口座凍結や金融破綻のリスクから守れる一方、盗難や相続トラブルの発生リスクが少なからずあります。そのため、生前贈与を検討したり、その他の非課税制度を活用したりして、高額なタンス預金への対策を行うといいでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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