叔父の遺言書に「甥に遺産の半分を譲る」との記載が。いとこからは「甥は相続人ではないから渡せない」と言われたのですが、受け取れますよね?

配信日: 2025.07.12
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叔父の遺言書に「甥に遺産の半分を譲る」との記載が。いとこからは「甥は相続人ではないから渡せない」と言われたのですが、受け取れますよね?
相続には法定相続人が存在しており、相続する際の法定相続人の優先順位が決まっています。甥や姪は基本的には法定相続人に含まれません。しかし、一定条件を満たしていれば姪や甥でも遺産を受け取れる場合はあります。
 
今回は、甥が相続人となったり遺産を受け取れたりするケースや、相続したときの税額の計算方法などについてご紹介します。
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高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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甥でも相続人となるケースはある

甥や姪が正式な相続人となるのは、代襲相続となった場合や、養子となった場合のみです。代襲相続とは、本来の法定相続人が亡くなる、あるいはほかの理由で相続権から除外されたりした場合に、その人の子どもに相続人としての権利が移ることをいいます。
 
配偶者を除く相続人には順位が定められており、甥や姪が代襲相続できるのは、以下の条件に当てはまるときです。
 

・亡くなった本人に子どもや孫、両親や祖父母がいない、もしくは相続人から外されている
・自身の親(亡くなった本人の兄弟姉妹)も他界している、もしくは相続人から外されている

 
例えば、亡くなった本人の子どもがいる場合、甥や姪の親が他界していたとしても代襲相続はできません。遺産は亡くなった本人の子ども、つまり甥や姪から見ていとこに相続されるでしょう。
 

遺言書があれば遺贈として甥が受け取れる可能性がある

遺言により法定相続人以外の人へ遺産を渡すことを「遺贈」といい、遺言で示されていれば相続人以外でも受取が可能です。
 
ただし、遺言書には法律で定められた書き方があり、特別の方式が許された場合を除いて自筆証書・公正証書・秘密証書のいずれかの形式で書かれていなければ、遺贈が認められません。
 
民法第968条によると、自書で遺言をする場合の条件は以下の通りです。
 

・遺言書の全文を本人が自書で記入している
・日付や署名を自筆したうえで印が押されている
・相続財産にかかる目録を添付するときは、目録は自書でなくてもいいが目録1枚ずつに署名と印が押されている

 
もし、叔父の遺言書に印が押されていなかったり日付がなかったりすると、甥は遺贈を受け取れない可能性があるので、よく確認しておきましょう。
 

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甥が遺産を受け取るときの相続税の計算方法

国税庁によると、亡くなった本人の配偶者や一親等の血族以外の人が遺産を受け取る場合、相続税は2割加算されます。亡くなった本人の子どもと同じ金額だけ相続しても、相続税額は異なるので注意しましょう。相続税の計算手順は以下の通りです。
 

(1)遺産総額から非課税財産や債務、葬式費用などを差し引く
(2)(1)から基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)を差し引く
(3)(2)の金額を法定相続分通りに相続したとして税額を計算し、合計する
(4)実際に遺産を受け取った割合で遺贈を受けた人や相続した人に税額を分ける
(5)必要に応じて控除や2割加算をする

 
そこで、以下の条件で遺産を受け取ったときの税額を求めましょう。
 

・法定相続人は子ども一人のみ
・遺産4000万円を遺言により甥に2000万円、子どもに2000万円ずつ遺産が渡る
・葬式費用などは考慮しない
・ほかに遺贈された人はいない
・基礎控除以外の控除は考慮しない

 
まず、今回のケースだと基礎控除は3600万円のため、400万円に対して課税されます。法定相続人は子どものみなので、400万円すべてを子どもが相続したとして税率10%が適用され、相続税額は40万円です。
 
実際には、子どもと甥で半分ずつ受け取っているので、子どもは20万円の負担になります。甥は2割加算が適用されるため、相続税額は24万円です。
 
なお、遺言で指定された金額によっては、ほかの相続人から遺留分を請求される場合があります。もし、遺留分を請求されると、法律で決められた分だけ法定相続人への補償が必要です。受け取る遺産額が変わり、相続税額も変動するので計算時に間違えないようにしましょう。
 

甥でも条件を満たせば遺産は受け取れる場合がある

甥でも代襲相続人や遺贈の形で遺産を受け取れる場合があります。ただし、配偶者や一親等の血族以外が遺産を受け取ると、相続税額は2割加算されます。同じ金額を受け取っていても、子どもより税額は多くなるでしょう。
 
また、代襲相続と遺贈はともに条件を満たしていなければ受け取れません。特に、遺言で遺贈を受けるときは、トラブルを防ぐためにも遺言書の形式に問題がないかよくチェックすることをおすすめします。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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