父の遺言書に「遺産を私と叔父で半分ずつ分ける」と書かれていたのですが、叔父は父の死後すぐに亡くなりました。父の遺産はすべて私のものになるのでしょうか?

配信日: 2025.07.15
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父の遺言書に「遺産を私と叔父で半分ずつ分ける」と書かれていたのですが、叔父は父の死後すぐに亡くなりました。父の遺産はすべて私のものになるのでしょうか?
相続手続きの途中や、遺産分割協議が終わっていないままに、遺贈(相続人等が遺言により遺産を受け取ること)を受けたり相続したりした人が亡くなるケースがあります。
 
このとき、受け取った遺産の扱いは遺贈か相続かで変わるため、違いを理解しておきましょう。
 
今回は、遺贈を受けた人がすぐに亡くなったときの遺産の扱いや、遺産分割協議中に相続人が亡くなったときの対応などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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遺贈は亡くなった人の死亡時点で有効になる

もし、亡くなった人に子どもがいる場合、兄弟は相続人になれないため、遺贈で受け取ることになるでしょう。
 
民法第985条によると、「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」と示されているため、遺贈する金額や内容を具体的に示す特定遺贈であれば、遺産分割協議に参加しなくても受け取れる可能性があります。
 
そのため、遺産分割協議中であったり叔父が遺贈を受け取ってすぐに亡くなったりしたとしても、遺贈で遺産を受け取った叔父の分はほかの相続財産とは別に、叔父の財産として扱われるでしょう。
 
なお、遺贈で受け取る予定だった人が、遺贈が発生する前に亡くなった場合、その遺贈の効力は失われます。民法第994条では「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と定められているためです。条件付きの場合は、その条件の成就前に亡くなった場合も無効とされます。
 

相続できる金額に変化はある?

父親が亡くなった際、叔父が遺言で遺贈を受け取っていた場合は、遺言は有効なので叔父の財産として判断されるでしょう。そのため、子どもが受け取る遺産額も変わらない可能性があります。
 
また、相続金額が変わらないので、相続税額も変わらないでしょう。相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」で、基礎控除を超えた分に対して課税されます。例えば父親の遺産総額4000万円を子どもが2000万円を相続、叔父が2000万円を遺贈で受け取ったとしましょう。
 
今回は子どものみが法定相続人のため、基礎控除は3600万円です。基礎控除を引いた400万円に対して課税されます。課税される金額を求めたあと、相続税額は以下の手順で計算できます。

(1)課税金額を法定相続人で法定相続分通りに相続したとして税額を求める
(2)(1)の金額を合計し、実際に遺産を分けた割合で分ける

今回のケースだと、法定相続人は子どものみなので、まずは400万円を子どもが課税されたとして計算します。税率は10%なので、税額は40万円です。
 
実際に受け取った割合は叔父と半額ずつなので、子どもの支払う相続税額は20万円、叔父が支払う相続税額は2割加算された24万円になります。
 

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遺産分割が決まる前に相続人が亡くなったらどうすればいい?

最初に相続が発生してから、分割内容が決まる前に相続人が亡くなると「数次相続」が発生します。
 
数次相続とは、相続の手続き中(相続税申告前)に相続人が亡くなり、新たに相続が発生した状態を指し、それぞれの相続に対して遺産分割や相続税の申告が必要です。その際、最初の相続が2回目の相続に影響を与える可能性があるので、2回目の相続に対して相続人になった人も最初の相続の遺産分割協議に参加することになるでしょう。
 
例えば、祖父が亡くなり、父親がほかの兄弟と遺産分割協議中に亡くなったとしましょう。父が存命であれば、祖父の分の遺産は父と兄弟のみで分けます。しかし、父親が亡くなると子どもにも相続が発生し、父親が相続する予定だった遺産は子どもが相続することになります。
 

叔父が遺贈で受け取っていたら相続金額は変わらない可能性がある

遺言は本人が亡くなると効力を持つため、叔父が遺贈を受けていた場合はすぐに亡くなったとしても叔父の財産として扱われるでしょう。一方、父親が亡くなる前に叔父が亡くなった場合は、効力が発生しないため、遺贈がなかったことになる可能性があります。
 
なお、相続人が遺産分割協議中に亡くなると、数次相続として遺産分割協議に参加する人が増える場合があります。相続トラブルを防ぐためにも、こうした状況のときには2回目の相続人となった人にも連絡を忘れないようにしましょう。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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