祖母の遺品整理中にタンスから「現金150万円」が出てきました。相続税の申告で、このお金も申告しなければいけないのでしょうか?
本記事では、遺品の中から発見された現金の扱いについて、相続税上のルールや注意点をわかりやすく解説します。
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遺品整理でタンスから現金が……これって申告が必要?
被相続人(亡くなった方)の遺品整理をしているとき、現金が出てくることは珍しくありません。特に年配の方の中には、銀行に預けず「タンス預金」として自宅で現金を保管していた方も多いものです。
では、そういった現金は相続税の申告に含めなければいけないのでしょうか?
答えは「はい」。
たとえ通帳に記録が残っていない現金でも、被相続人が所有していた財産はすべて、相続税の対象です。これは金額の大小にかかわらず、すべて申告対象となります。
相続税の対象になる「現金」とは?
相続税の対象になる現金には、次のような種類があります。
●タンス預金(自宅や金庫などに保管されていた現金)
●財布の中の現金
●貸金庫の現金
●死亡直前に引き出されて、使われずに残っていた現金
これらはいずれも、「亡くなった時点で所有していた財産」として評価されます。
一方、相続税の申告そのものが必要かどうかは、「遺産の総額」が基礎控除額を超えているかどうかで決まります。基礎控除額は、「3000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数」で計算されます。
例えば、法定相続人が2人であれば「3000万円+600万円×2=4200万円」が基礎控除額となります。タンス預金だけで4200万円を超えることはまれですが、他にも預金や不動産などがある場合は、現金150万円も含めて申告対象となります。
申告しなかったらどうなる? 税務署はどうやって調べる?
「見つけたことを言わなければバレないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、それには大きなリスクが伴います。実は、税務署は相続人が提出した申告書の内容と、過去の預金の動きや生活状況などをもとに、申告漏れの可能性をチェックしています。
例えば、亡くなる前に多額の現金が銀行口座から引き出されていたのに、現金が申告されていない場合、「タンス預金にしたのでは?」と疑われる可能性があります。また、税務署は必要に応じて調査を行い、自宅への臨宅調査が行われることもあります。
もし申告漏れが見つかると、次のような追加の税金が課されます。
●過少申告加算税:申告した税額が、正しい金額より少なかった場合
●無申告加算税:正当な理由なく期限内に申告・納付しなかった場合
●延滞税:納付期限までに納付されなかった場合
●重加算税:不正や隠ぺいがあったと判断された場合
こうしたペナルティーを避けるためにも、「現金が出てきたら必ず専門家に相談して、正しく申告する」ことが重要です。
まとめ
祖母のタンスから見つかった150万円の現金。それがどれだけ大切にしまわれていたものであっても、相続税のルールに従って正しく申告する必要があります。
現金は通帳のように証拠が残りづらいため、つい「大丈夫かな」と思ってしまいがちですが、税務署はさまざまな情報をもとに申告内容を確認しています。
後から「申告しておけばよかった」と後悔しないためにも、現金を見つけたらまずは記録を取り、相続税の対象になるかどうかを判断しましょう。不安な場合は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4155 相続税の税率
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー