「自分の葬儀は簡素にしてほしい」と父に言われました。「家族葬」より「小規模な葬儀」があると聞いたのですが、「費用」はいくらくらいで「どんな内容」ですか?
この記事では、「火葬式」とはどのような形式か、費用の目安はどれくらいかについてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
火葬式(直葬)とはどのような葬儀か
火葬式は、通夜や告別式などの儀式を行わず、必要最小限の手順でごく限られた親族のみで火葬のみを執り行う葬儀形式です。
株式会社鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、実際に行われた葬儀のうち9.6%がこの火葬式であり、一定の割合で選ばれていることが分かります。一般的な火葬式(直葬)の流れは次の通りです。
・故人を病院などから自宅や専用の安置施設へ搬送し、法律で定められた24時間以上、安置します。
・故人を棺に納めます。
・親族が集まり、火葬場へ向かいます。火葬炉の前で最後のお別れをし、火葬・収骨を行います。
式典や参列者の対応がないため、家族は故人と最後の時間を静かに過ごすことができます。「費用を抑えたい」「大げさにしたくない」と考える方に選ばれる傾向があるようです。
家族葬との違い
家族葬も親族や親しい友人のみで行う小規模な葬儀ですが、基本的には通夜や告別式を執り行う点が火葬式との大きな違いです。
・火葬式(直葬): 儀式を省略し、火葬のみを行う。
・家族葬: 親しい人たちで、通夜・告別式を行う。
費用や時間は火葬式の方が抑えられますが、ある程度丁寧にお見送りをしたいという場合は家族葬を選ぶ傾向にあるようです。
火葬式の費用相場は平均42.8万円
火葬式の大きなメリットは、費用を大幅に抑えられる点です。前述の鎌倉新書の調査によると、火葬式の費用総額の全国平均は42.8万円です。最も回答が多かった価格帯は20万円以上~40万円未満となっています。
ちなみに、同調査での他の葬儀形式の平均費用は、家族葬が105.7万円、一般葬が161.3万円でした。これらと比較すると、火葬式が経済的負担の少ない選択肢であるかが明確に分かるでしょう。
火葬式を選ぶ際の注意点
費用を大きく抑えられる火葬式ですが、決める前におさえておきたい注意点もあるようです。鎌倉新書の同調査で、葬儀について「後悔していることはない」と回答した人の割合を見ると、火葬式を執り行った人では38.7%にとどまりました。
これは、家族葬や一般葬の実施者(いずれも過半数が「後悔なし」と回答)に比べてやや低い数値です。後悔の具体的な理由としては、
・通夜をしなかったこと
・火葬場でのお別れの時間が短かったこと
などが挙げられており、儀式を簡略化したことによる心残りや、故人とゆっくりお別れできなかったという気持ちもうかがえます。
シンプルな葬儀(火葬式)の内容と費用を理解して選択を
「自分の葬儀は簡素に」という気持ちを尊重することは大切です。火葬式(直葬)は、その意向に沿う有力な選択肢の一つです。
全国平均で約42.8万円という費用は、他の形式に比べて経済的負担を大きく軽減してくれます。しかしその一方で、お別れの時間が短いなどの事情もあるようです。
費用面だけでなく、「本当にこの形で見送って、家族は後々心残りにならないか」という気持ちの面も、親族間でよく話し合うことが重要です。家族にとっても納得のいくお別れの形を選びましょう。
出典
株式会社鎌倉新書 第6回お葬式に関する全国調査(2024年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー