「健康保険の加入者」は「葬祭費」を受け取れる? 人によって「支給金額」に差はあるの?
今回は、葬祭費を受け取れる条件や申請に必要な書類、葬儀費用と相続税の関係などについてご紹介します。
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目次
健康保険の加入者が葬祭費を受け取れる条件とは
健康保険に加入している人が亡くなった際、葬儀を執り行った人に対して葬祭費が支払われる可能性があります。国民健康保険法第58条では「市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。」と定められているためです。
いくら受け取れるかは自治体によって異なる可能性があるため、事前に確認しましょう。例えば、東京都港区、大阪府大阪市、北海道札幌市で給付金額は以下のように変わります。
・東京都港区:7万円
・大阪府大阪市:5万円
・北海道札幌市:3万円
また、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、葬祭費にあたる給付金は以下の3種類に分かれています。
・埋葬料:亡くなった本人が生計を維持していた人が埋葬を行う場合、5万円を支給
・埋葬費:埋葬料の該当者がいない場合、実際に埋葬をした人に対して5万円までの範囲で埋葬に実際に必要となった費用を支給
・家族埋葬料:被扶養者が亡くなった場合、保険加入者本人に5万円を支給
加入している健康保険によっても変動する可能性があるので、気になる人は自身の加入する健康保険の公式サイトなどでチェックしておきましょう。
葬祭費の申請に必要な書類
葬祭費は申請しないと受け取れません。また、申請期限は葬儀を執り行った日の翌日から2年までと決まっているため、できるだけ早く申請しましょう。
東京都港区によると、申請に必要な書類は以下の通りです。
・「亡くなった人の資格情報が確認できるもの(有効期限内の保険証、資格確認書、資格情報通知書等)」
・「葬儀の領収書(原本・葬儀を行った人の氏名と亡くなった人の葬儀費用であることが記載されたもの)」
・「葬儀を行った人名義の口座番号」
・「葬儀を行った人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)」
全国健康保険協会の場合は、事業主による死亡の証明が必要になる場合もあります。葬儀を行う前に、勤めていた会社に確認しておくとよいでしょう。
また場合によっては上記以外の書類が必要になる可能性もあります。今回ご紹介した必要書類は参考として、実際に申請するときは必要なものをよく調べてから申請しましょう。
葬式費用で負担した金額は相続税から控除できる可能性がある
葬儀に関して、相続人などが負担した葬式の費用は、相続税の計算時に遺産総額から控除できる場合があります。国税庁によると、控除できる費用例は以下の通りです。
・火葬や埋葬、納骨の費用
・遺骨の回送費用
・お通夜の費用
・お寺の読経料
・遺体の捜索や運搬にかかった費用など
もし葬式費用を負担したときは、給付金だけでなく相続税の控除も活用すると、金銭的負担を軽減できるでしょう。
地域や健康保険の種類によって葬祭費は変動する可能性がある
葬祭費は、健康保険に加入している人が亡くなった際、申請すれば葬儀をした人に対して支払われる給付金です。国民健康保険に加入していた場合は、自治体によって金額が変動します。亡くなった本人が住んでいた自治体の葬祭費を調べるとよいでしょう。
また、全国健康保険協会加入者は、埋葬費や埋葬料などとして5万円を受け取れる可能性があります。ほかの健康保険を利用している場合は、金額が変わる可能性があるのでチェックしましょう。
なお、葬儀にかかった費用は、一部相続税の課税遺産総額から控除できます。相続税がかかるときも、控除を使うと税負担が軽くなるでしょう。
出典
e-Gov 法令検索 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)
東京都港区 国民健康保険に加入していた人の葬祭費の手続き
大阪府大阪市 葬祭費の支給
北海道札幌市 死亡したとき(葬祭費)
全国健康保険協会 ご本人・ご家族が亡くなったとき
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー