実家を相続したものの「相続税」が思ったより高く支払えない可能性があります。すでに実家へ引っ越してしまったのですが「相続放棄」はできませんか?

配信日: 2025.07.27
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実家を相続したものの「相続税」が思ったより高く支払えない可能性があります。すでに実家へ引っ越してしまったのですが「相続放棄」はできませんか?
相続する際に実家に引っ越すケースもあるでしょう。しかし、実家の値段やほかの相続財産の金額によっては、想定よりも相続税額が高くなる場合があります。引っ越し後にやはり相続ができないとなったときは、相続放棄ができるかの確認が必要です。
 
今回は、実家に引っ越したあとに相続放棄ができるのか、また相続放棄後に実家に住めるのかなどについてご紹介します。
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承認をすると相続放棄ができない

承認をしたあとの相続放棄はできません。承認とは遺産分割協議に参加することだけでなく、単純承認も含まれます。単純承認とは、遺産を動かすなどの行為によって実質的に相続することを認めることです。
 
民法第921条によると、単純承認とみなされる行為は以下が挙げられます。
 

・財産を処分した
・決められた期間内に限定承認や相続放棄をしなかった
・限定承認や相続放棄のあとに、遺産の一部もしくは全部を隠して私的に流用したりわざと目録に書かなかったりした

 
引っ越したあとに家財道具を処分すると、単純承認と判断されて相続放棄ができなくなるケースがあります。また、家のリフォームも「財産の処分」とみなされ、単純承認と判断される可能性がゼロではありません。
 
例えば、6000万円の実家に引っ越してから家財道具を処分すると、その実家とほかの相続財産を相続するとみなされる可能性があります。以下の条件で相続した場合の税額を求めてみましょう。
 

・6000万円の実家と1000万円の現金を相続
・法定相続人は子ども一人のみ
・ほかに遺贈を受けた人はいない
・相続財産に加算される贈与はないとする

 
相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」なので、今回の基礎控除額は3600万円です。相続財産は合計7000万円のため、基礎控除を差し引いた3400万円が課税対象になります。
 
3400万円のとき、税率は20%、控除額は200万円のため、相続税額は480万円です。今回のケースだと現金も相続しています。しかし、もともとの自身の貯金残高によっては今後の生活を考えたときに支払いが難しくなるケースもあるでしょう。
 

相続税を支払えないときにできること

金銭的な事情で相続税を支払えないときは、延納制度や物納制度を利用できる可能性があります。
 
延納制度とは、条件を満たしていれば担保を提供することで、年賦払いが可能になる制度です。条件は以下の通りとされています。
 

・相続税額が10万円を超えている
・お金での納付が困難な事情があり、延納もその困難な範囲内である
・相続税額が100万円を超えている場合、相続税額や利子税に相当する担保を提供する(延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下の場合は不要)
・延納したい相続税の申告期限までに延納制度を申告している

 
延納制度にかかる利子税は、相続財産の不動産の割合によって税率が変わるためチェックしておきましょう。
 
物納制度は、延納制度を利用しても相続税を支払えない場合に、金銭の代わりに相続財産を納付できる制度です。ただし、すべての相続財産が対象となるわけではないので注意が必要です。
 

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相続放棄後の実家は住める?

相続放棄をした場合、その後は家に住み続けられなくなります。相続放棄をすることは、相続財産に関するすべての権利を放棄することになるためです。
 
相続放棄をしてすぐに家を出なければならないわけではありませんが、長期間住み続けられないでしょう。基本的には、相続放棄の熟慮期間として示されている3ヶ月が目安です。
 

単純承認をしていなければ相続放棄できる可能性はある

相続放棄は単純承認をしていなければ可能です。ただし、引っ越したあとに家財道具などを処分していると、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなる可能性があります。相続放棄ができなくなると、相続財産の金額によっては相続税の課税対象です。
 
相続税の金額が想定よりも高く支払えない場合、延納制度や物納制度を利用できないか確認しておきましょう。利子税がついたり担保を必要としたりしますが、金銭的負担をやわらげられる場合があります。
 
単純承認をせずに相続放棄ができた場合、実家からは引っ越す必要があるでしょう。二度手間にならないよう、実家に引っ越す前に相続税がいくらくらいになるか試算してみることをおすすめします。
 

出典

国税庁 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4211 相続税の延納
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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