実家が都内なら売れば「相続税」くらい回収できる?都内での“実家相続”の落とし穴とは

配信日: 2025.08.03
この記事は約 3 分で読めます。
実家が都内なら売れば「相続税」くらい回収できる?都内での“実家相続”の落とし穴とは
「実家が都内にあるなら売却すれば相続税くらい回収できるのでは?」そう考える人も多いかもしれません。確かに、都内の不動産は地方に比べて資産価値が高く、実際に売却すればまとまった金額が得られることもあるでしょう。
 
しかし、実際には相続税や売却時のコスト、共有名義のトラブルなど、予想外の負担が生じるケースもあります。
 
この記事では、都内の実家を相続した場合に注意すべき点を、税金と収支のシミュレーションを交えて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

都内の実家は「資産」か「負債」か? 相続税の基礎を押さえる

相続税は「遺産総額-基礎控除」で課税金額が決まります。基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。例えば、相続人が子ども2人なら基礎控除額は4200万円です。
 
問題は、都内の実家の土地や建物の相続税評価額が高額になりやすい点と、相続税は原則として現金で納める必要があるという点です。例えば、都心近郊の住宅地では、土地100平方メートルでも評価額が5000万円を超えるケースもあり、実家だけで課税対象となることもあります。
 
一見「大きな資産」に見える実家もすぐに現金化できない限り、税金を支払うのは容易ではありません。
 

「売れば相続税が回収できる」は本当か?

実際に実家を売却すれば、相続税をまかなえるのでしょうか? ここでは土地と建物の相続税評価額が6000万円、ローンなし、相続税が310万円(相続人は子1名想定)の事例を取り上げます。
 
土地と建物の売却価格が7000万円だった場合、310万円の相続税は売却益から支払えるように見えます。しかし見落としがちなのが売却に必要となる諸経費です。売却時には主に以下の費用が発生します。
 

不動産仲介手数料:237万6000円(7000万円×3%+6万円+消費税)
印紙税:3万円(令和9年3月31日までの売買契約であれば軽減税率を適用)
譲渡所得税:所得税額(5年以下の所有) = 売却益 × 30.63%/所得税額(5年以上の所有)=売却益×15.315%

 
譲渡所得税は、3000万円以上の所得が出た場合に課税されます。(3000万円までの譲渡所得が特別控除)このケースでは課税されません。
 

その他(測量・登記費用など):数十万円〜

 
つまり、相続税を売却益から支払えるかどうかは「実勢価格」「取得費」「売却諸費用」次第となるのです。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

思わぬ出費とトラブルがあるかもしれない相続・売却時の落とし穴

都内の実家を相続したあと、家族間のトラブルになることもあります。例えば、兄弟姉妹との共有名義にすると、売却時に全員の同意が必要になり、意見の不一致が売却の妨げになることもあります。
 
また、老朽化した建物を解体する場合、その費用も相続人が負担する必要があるのです。さらに空き家状態が長引けば、「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇措置がなくなり、税負担が増すリスクもあります。
 
一方で「空き家の3000万円特別控除」といった制度を利用すれば、譲渡所得の控除が受けられる場合もあります。ただし、相続後すぐに売却することなど、厳しい適用条件があるため、事前に確認しておくことが重要です。
 

都内の不動産を上手に活用するためのポイント

損をしない相続のためには、生前の準備が重要になります。例えば「生前贈与」を活用して早めに資産を分割したり、「家族信託」によって相続後の管理・処分をスムーズにしたりする方法が有効です。
 
また、実家を「住む」「貸す」「売る」のどれにするかを家族で話し合っておくことも大切になります。特に売却を前提にする場合は、築年数・地形・再建築の可否といった不動産の条件を早めに確認しておくことで、トラブルや損失を回避しやすいです。
 
税理士・不動産業者・ファイナンシャルプランナーなどの専門家と連携しながら、計画的な対策を講じることがカギとなります。
 

高く売れる都内の実家でも、「準備不足」は損のもと

都内に実家があるというだけで「安心」と思いがちですが、相続税や譲渡費用、家族間の調整など、さまざまなハードルがあります。その対策を怠ってしまうと、売却しても想定より手元に残らないという現象が生じてしまうのです。
 
また、実家の資産価値が高いほど、トラブルや出費も大きくなる傾向があります。だからこそ、早めの情報収集と相続対策が、家族の負担を減らす最大のポイントになるのです。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問