父が亡くなり、自宅を相続しましたが“現金がなくて”相続税を払えません。“延納”や“物納”は認められますか?

配信日: 2025.08.09
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父が亡くなり、自宅を相続しましたが“現金がなくて”相続税を払えません。“延納”や“物納”は認められますか?
親の遺産として自宅を相続したものの、現金や預貯金がほとんどなく、相続税を払えない。こうした悩みを抱える人は少なくありません。
 
相続税は原則、現金での一括納付ですが、現金が用意できない場合には「延納」や「物納」という制度を利用できる場合があります。
 
本記事では、それぞれの制度の違いや条件、注意点をわかりやすく解説します。自宅を手放さずに納税するための選択肢を一緒に確認していきましょう。
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相続したのは不動産だけ。相続税が払えない場合はどうする?

相続が発生すると、原則として10ヶ月以内に相続税を申告・納付する必要があります。しかし、相続した財産が自宅などの不動産だけで、現金がない場合、「どうやって税金を払えばいいのか」と不安になる方も多いでしょう。
 
実は、そうしたケースに対応するために用意されている制度が延納と物納です。延納は「分割払い」、物納は「現金以外の財産で納める」制度です。どちらも条件を満たせば利用できますが、事前の準備が必要なため、早めに情報を集めておくことが大切です。
 

延納とは? 現金がなくても“分割払い”が認められる制度

延納とは、相続税を年単位で分割払いする仕組みです。利用には以下のような条件があります。


・相続税の金額が10万円を超えている
・一括で払うことが「困難」と認められる状況にある
・延納する税額および利子税額に見合った担保を提供できる

※ただし、延納税額が100万円以下で、延納期間が3年以下の場合は担保不要
・納付期限(相続発生から10ヶ月)までに延納申請書を提出する

不動産の割合が多い場合は、最長20年まで延ばすことも可能です。ただし、延納中は「利子税」がかかります。これは利息のようなもので、年率は税法で定められており、延滞税よりは低めです。
 
担保には、相続した土地や建物などを使うことが多く、申請には不動産登記事項証明書などの書類が必要です。
 

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物納とは? 自宅をそのまま税金として納める方法もある

延納ですら対応が難しい場合に、最終手段として利用できるのが物納です。これは、現金の代わりに自宅や土地、株式などを国に納めることで税金を支払う制度です。ただし、誰でも使えるわけではなく、次のような厳しい条件があります。


・延納でも納税が難しいこと
・物納に適した財産があること(不動産、上場株式、国債など)
・その財産が「管理処分可能な状態」であること

※たとえば、担保が付いていない、争いがないなど
・納付期限(相続発生から10ヶ月)までに物納申請書を提出すること

不動産の場合、評価が難しい場合や管理状態によっては、認められないこともあるため注意が必要です。また、申請後に調査が入り、却下される可能性もゼロではありません。そのため、専門家(税理士など)に事前相談することが強く推奨されます。
 

まとめ:延納・物納を活用するために早めの行動を

相続税は原則として現金で一括納付ですが、現金が足りないからといって諦める必要はありません。延納や物納といった制度を活用すれば、自宅などの大切な資産を手放さずに済む可能性もあります。
 
ただし、どちらも納税期限までに申請が必要です。条件も厳しいため、書類集めや判断には時間がかかります。手続きを進める際には、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談すると安心です。
 
早めに動くことで、選択肢も広がり、無理なく納税を完了させることができるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 No.4211 相続税の延納
国税庁 No.4214 相続税の物納
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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