お隣さんは「ひとり暮らしで身寄りなし」と聞きました…もしものとき、その「財産」はどうなるのでしょうか?
この記事では、法定相続人がいないケースで財産がどう扱われるのか、また、事前にできる備えについて解説します。
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相続人がいない場合、財産はどうなる?
民法第959条には、法定相続人が存在せず、かつ遺言もない場合、遺産は「国庫に帰属する」と定められています。これはつまり、財産を受け取る人がいないときは、国が最終的にその財産を引き取るということです。
法定相続人とは、配偶者や子ども、親や兄弟姉妹など、民法で定められた範囲の親族です。たとえ遠縁でも、民法上の相続人が見つかれば、その人が財産を受け取ります。しかし、身寄りがまったくない場合や、相続人がすでに亡くなっている場合などは、財産の行き先が問題になります。
そのため、法定相続人がいないケースでは、亡くなった方の財産がそのまま国のものとなる可能性があるのです。
相続人がいないとすぐに国のものになるのか
相続人がいないからといって、すぐに財産が国に引き渡されるわけではありません。実際には、いくつかの手続きが必要です。
まず、相続人がいない場合、利害関係人や検察官などの申し立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。この管理人は、債権者への支払い、財産の管理、相続人の調査などを行います。
一定期間(6ヶ月以上)が経過しても相続人が現れない場合、最終的に家庭裁判所が「相続人不存在」を確認し、残った財産が国に引き渡されます。これは、財産の放置による混乱や不正利用を防ぐための制度です。
生前にできる備えとは
もしも「自分には身寄りがいない」と感じている場合は、事前に財産の行き先を決めておくことが大切です。具体的には「遺言書」の作成が有効です。
たとえば、親しくしている知人やお世話になった施設、社会貢献をしたい団体などに財産を遺すことができます。遺言書があれば、相続人がいなくても、その内容に従って財産を分配できます。
「公正証書遺言」であれば、公証役場で作成・保管されるため、紛失や改ざんの心配が少なく、安全性も高いとされています。実際に身寄りのない方が、動物保護団体や奨学金財団などに財産を遺した例もあります。
遺言書を作っておけば、思いを託したい相手に財産を渡すことができるだけでなく、亡くなった後の手続きをスムーズにし、周囲に迷惑をかけずに済む可能性もあるでしょう。
身寄りなく亡くなった場合、財産は原則「国のもの」となります
ひとり暮らしで身寄りがない人が亡くなり、遺言もない場合、その財産は民法959条に基づいて国庫に帰属します。ただし、遺言書を作成しておけば、特定の個人や団体に遺産を引き継がせることができます。
身寄りのない高齢者が増える中、自分の財産をどのように扱うかは、早めに考えておくべきテーマといえるでしょう。
出典
e-Gov法令検索 民法 第九百五十九条
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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