「相続税」の課税対象になるのは10人に1人!?遺産総額が「3600万円」以下なら申告不要って本当?
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相続税の基本
相続税は、被相続人(亡くなった人)から相続人が財産を引き継ぐ際に課される税金です。申告が必要な場合は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に手続きを行う必要があります。
相続税の課税対象となるのは、被相続人の遺産総額から基礎控除額を差し引いた金額で、遺産総額が一定額以下の場合には相続税がかかりません。
国税庁の「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続税の課税対象となる相続は全体の9.9%で、およそ10人に1人が対象になっています。
東京などの都市部では地価が高いため、一般的な住宅を所有しているだけでも相続税の課税対象となるケースが増えているといえるでしょう。課税割合は、全国が9.9%なのに対して、東京国税局の「令和5年分相続税の申告事績の概要」によれば、東京都は15.4%です。
申告の要否はどう決まる?
相続税の基礎控除額は以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数は、実際に相続を放棄した人がいても放棄がなかったものとして計算します。また、実子がいる場合は養子一人まで、実子がいなければ養子二人までを法定相続人の数に含めることが可能です。
例えば、相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円となります。この場合は、遺産の総額が4200万円以下であれば基礎控除額の範囲内のため、相続税の申告は不要です。相続人が一人のみの場合は基礎控除額が3600万円となるため、遺産総額が3600万円を超えると相続税の申告が必要になります。
このように、相続税の申告の要否は遺産総額だけでは判断できません。基礎控除額を超えるかどうかが重要な判断基準となるでしょう。また、遺産総額が基礎控除額を下回る場合でも、以下のようなケースでは相続税の申告が必要です。
●相続時精算課税制度を利用した贈与を受けている場合
●配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)を適用する場合
●小規模宅地等の特例を適用する場合
生前贈与で相続時精算課税制度(早期に資金を子や孫に贈与できる制度)を利用した場合、贈与財産は相続発生時に相続財産に加算され、相続税が計算されます。
この制度を利用し、かつ遺産総額が基礎控除額を超える場合は相続税の申告が必要です。また、遺産総額が基礎控除額以下であっても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用することで相続税を減免される場合には申告が必要です。
遺産に含まれるものは?
遺産総額の計算には、おもに以下の財産が含まれます。
●現金、預貯金
●不動産(土地・建物)
●株式、債券などの有価証券
●生命保険金(一定額を超える部分)
●退職金(一定額を超える部分)
●貴金属、宝石、美術品
●自動車、家財道具
中でも、不動産の評価は路線価や固定資産税評価額を基に計算されるため、専門家による正確な評価が必要といえるでしょう。
相続税の対象になる人はおよそ10人に1人。遺産総額が3600万円以下でも申告が必要なケースがある
相続税は、現在では約10人に1人が課税対象となっています。相続人の数によって基礎控除額は変動するため、遺産総額が3600万円を超えると申告が必要という情報は、すべてのケースにあてはまるわけではありません。
相続税の計算は複雑であるため、専門家への相談をおすすめします。相続税の正しい知識を持ち適切な対策を講じれば、大切な財産を次世代に円滑に引き継げるでしょう。
出典
国税庁 令和5年分 相続税の申告事績の概要(2P)
国税庁 No.4152 相続税の計算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
