昨年結婚資金として300万円贈与してくれた父が、亡くなってしまいました。この300万円も「相続税」の対象になる?

配信日: 2025.08.24
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昨年結婚資金として300万円贈与してくれた父が、亡くなってしまいました。この300万円も「相続税」の対象になる?
父から昨年、結婚資金として300万円の贈与を受けた方にとって、「父が亡くなった今、このお金も相続税の対象になるのでは?」と不安に感じるのは自然なことでしょう。贈与には非課税枠や特例がある一方で、「生前贈与加算」により生前の贈与が相続財産に戻されることもあります。
 
本記事では、最新の税制改正を踏まえて、贈与金額が相続税の対象となるかどうか、分かりやすく解説します。
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父から贈与された300万円、相続税の対象になるの?

まず、結論からお伝えしますと、相続税の課税対象になる可能性はあるでしょう。
 
理由は「生前贈与加算」というルールにあります。これは、贈与を利用して相続税を免れることを防ぐ目的で設けられた制度です。
 
例えば、相続直前に多額の贈与を受けてしまえば、相続財産が減り相続税が少なくなってしまいます。そのため、亡くなる前の一定期間内に贈与した財産は「なかったもの」として相続財産に戻されるのです。
 

生前贈与加算の仕組みと改正内容

もともとこの期間は「死亡前3年以内」でしたが、2024年(令和6年)の税制改正により、最終的に7年に延長されることになりました。経過措置はあるものの、2024年に受けた贈与であれば、父が翌年亡くなった場合は「3年以内」に該当するため、原則として相続税の対象に加算されることになります。
 
具体的な被相続人の相続開始日に応じた加算対象期間は以下の通りです。

●~令和8年12月31日:相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間
●令和9年1月1日~令和12年12月31日:令和6年1月1日から死亡の日までの間
●令和13年1月1日~:相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

ただし、相続税が実際にかかるかどうかは「基礎控除額」(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで決まります。したがって、贈与分を含めても財産額が控除内に収まれば、結果的に相続税がかからない場合もあるでしょう。
 

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結婚のための贈与は非課税にならないのか? 特例と注意点

結婚資金の贈与には、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」という制度があります。この制度を利用した場合に限り贈与税が一定額非課税となり、適用には条件や手続きが必要です。
 
国税庁によると、「直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額」については加算しない贈与財産の範囲と定められているようです。ただし、この金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算される場合があるため注意が必要です。
 

贈与税と相続税の二重課税はどうなる?

贈与税をすでに納めている場合、「また相続税でも課税されるの?」と心配になる方もいるでしょう。ここについては安心できる仕組みがあります。
 
相続税の計算においては、既に納めた贈与税は「贈与税額控除」として差し引くことができます。つまり、同じお金に対して贈与税と相続税が二重にかかることはありません。ただし、贈与税より相続税のほうが税額が高い場合には、その差額を追加で納める必要があります。
 
また、加算税や延滞税、利子税などの額は控除額に含まれないため注意が必要です。
 

まとめ:結婚資金でも通常の贈与なら加算対象、特例を利用すれば対象外

今回のケースを整理すると、昨年受け取った300万円が相続税の対象になるかどうかは、贈与の方法によって大きく変わります。
 
通常の贈与として父から直接受け取ったものであれば、生前贈与加算の対象となり、相続財産に加算される可能性があります。
 
しかし、国の制度である「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を利用していた場合には、非課税の範囲内であれば生前贈与加算の対象から外れるため、相続税に含まれることは原則ないでしょう。なお、すでに贈与税を支払っている場合は、相続税からその分が控除されるため二重に課税される心配はないといえます。
 
最終的に相続税が発生するかどうかは、相続財産全体の額が基礎控除額を超えるかどうかで判断されます。結婚資金の贈与だからといって自動的に非課税になるわけではなく、制度の利用の有無が大きな分かれ目になるのです。
 
だからこそ、贈与を受ける際には制度を理解しておくことが大切ですし、不安な場合は税務署や専門家に相談することで、余計な心配をせずに相続の手続きを進めることができるでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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