兄から帰省時に「実家が空き家になると、固定資産税が7万→22万円になる」と相談が!「せっかくだから住めば?」とのことですが、本当にそこまで高くなるのでしょうか?
実家やその土地を相続して住む場合は、家計面で助かることもありますが、既に自分や兄弟姉妹に持ち家がある場合、実家の相続が大きな問題になるケースもあります。
相続後に空き家のまま放置すると、思わぬコストが発生する可能性があり、中でも土地にかかる固定資産税は、納税額が最大6倍に跳ね上がる場合もあるので注意が必要です。
本記事では、空き家の固定資産税の負担を抑えるためにできる準備について解説します。
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
空き家を放置すると土地にかかる固定資産税が6倍になる理由
実家を空き家のまま放置した場合の大きなリスクが、土地にかかる固定資産税の増額です。固定資産税には、住宅やマンションなどの居住建物の敷地である住宅用地に対して、課税額が最大で6分の1になる軽減特例が適用されます。
空き家になったからといってすぐ問題になるわけではありませんが、管理不足により倒壊など著しく保安上の危険がある場合は、市区町村から「特定空家」やその予備軍である「管理不全空家」に指定されます。これらに指定され、行政から勧告を受けると、固定資産税の軽減特例の適用が外れ、土地にかかる税額が最大6倍に跳ね上がります。
例えば、現在固定資産税が、土地に3万円(軽減特例の適用あり)、建物に4万円、合計7万円の固定資産税を支払っている場合、軽減特例の適用が外れることで、土地にかかる3万円が18万円になり、固定資産税の総額も7万円から22万円に増額されます。
土地にかかる固定資産税が6倍にならないために準備すべきこと
住宅用地に対する固定資産税の軽減特例が利用できなくなる前にとるべき対策には、主に次のようなものがあります。これらの対策は相続前から準備を進めておくと安心です。
実家を解体する
継続した管理が難しい空き家は、早めに解体して特定空家や管理不全空家にならないように対策する選択肢があります。解体する費用はかかりますが、国や市区町村によっては補助金を受けられることもあります。空き家のある地域のウェブサイトや窓口で確認してみましょう。
売却または賃貸にする
実家を売却したり賃貸として活用したりすることができないか、検討することも有効です。売却や賃貸のために実家を改修する場合もあるかもしれませんが、一定の要件を満たす改修工事であれば、国や地方自治体の補助金を受けられる場合もあります。
空き家のある市区町村に相談する
解体、売却および賃貸としての活用など、空き家のままで放置しない方法はいくつかありますが、どの方法が良いか自分では判断できないこともあるかもしれません。空き家の活用方法に迷ったときは、積極的に自治体の窓口に相談しましょう。
空き家の管理・活用に関する情報提供や、売却や賃貸の相手とのマッチングをサポートしてくれるサービスなどを受けられることがあります。
家族で実家の将来について話し合おう
実家の相続は、既に自分や兄弟姉妹に持ち家がある場合、トラブルになりやすい問題の1つです。実家の活用方法が決まらないまま空き家として放置しておくと、特定空家や管理不全空家として認定され、行政から勧告を受けるかもしれません。
そうすると、住宅用地に対する固定資産税の軽減特例を利用できなくなり、土地にかかる固定資産税が最大6倍になるリスクがあります。これを避けるには、空き家を放置せず、早めに空き家の対処方針を決めることが大切です。住む・売る・貸す・解体する、いずれの選択肢を取るにせよ、家族と事前に話し合って準備しておきましょう。
出典
政府広報オンライン 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士