母が亡くなり相続手続きを進めていると「80万円」の未払い金が判明…!母の遺産から勝手に支払ってもいい?

配信日: 2025.09.11
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母が亡くなり相続手続きを進めていると「80万円」の未払い金が判明…!母の遺産から勝手に支払ってもいい?
家族が亡くなったあと、遺品整理や相続の手続きを進めていくなかで、未払金が発覚するケースもあります。もし未払金が見つかったときは、相続人が支払い手続きなどをしなければなりません。
 
今回は、未払金を相続人が支払わなければならない理由や、未払金などのマイナスの財産があるときの相続税額の計算方法などについてご紹介します。
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未払金は相続人が支払う

相続財産には、預貯金や宝石など経済的価値のあるプラスの財産のほかに、借入金や未払金などのマイナスの財産も対象です。そのため、もし未払金のある人の財産を相続した場合、その未払金の支払い義務も相続されます。
 
今回のケースにおいて、未払金が発生する可能性のあるものとしては、以下が挙げられます。

・亡くなった母親の住んでいた部屋の家賃
 
・水道光熱費などの公共料金
 
・医療費

ただし、相続している財産なので、相続人が複数人いる場合は自分1人で判断せず、ほかの相続人と話し合ったうえで、誰かが一時的に立て替えてあとで精算するなどの対応が必要となるケースもあります。もし勝手に遺産から支払うと、ほかの相続人と相続する金額でトラブルになる可能性があります。
 
自分のお金から立て替える場合は、何のためにいくら支払ったかを明確にしておきましょう。領収書などの証明がなければ、ほかの相続人から精算してもらえない可能性が考えられます。
 
遺産分割協議時には、自分が支払った分を考慮して、精算と遺産の分割を話し合いましょう。
 

親の預金から支払うこともできる

立て替える際には必要に応じて遺産である預金を使用することも可能です。もし口座が凍結されている場合は、相続預金の払戻し制度を利用すると、親の口座のお金を引き出せる可能性があります。家庭裁判所の判断を経ずに、単独で相続預金を払い戻す場合は、同一の金融機関につき最大150万円まで引き出しが可能です。
 
ただし、払戻し制度により引き出した金額分は、その相続人が相続したとして遺産分割時に調整がなされることになります。
 
例えば、預金が1000万円あり、相続人は長男と次男の2人で長男が80万円を引き出したとしましょう。通常であれば500万円ずつ相続しますが、長男が先に引き出した80万円を差し引くため、遺産分割協議時には長男が420万円、次男が500万円相続することになります。
 
なお、相続預金の払戻し制度はほかの相続人に確認せず利用できる制度です。未払金をすぐに支払える一方で、領収書などの書類を保管していなければ遺産を勝手に引き出したとしてほかの相続人とトラブルになる可能性があります。もし親の遺産を使用する場合は、必ずお金の使い道の証明を残しておきましょう。
 

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マイナスの財産があるときの相続税の計算方法

未払金などのマイナスの財産がある場合、支払い義務を相続することになりますが、対象となるマイナスの財産は相続税の計算から控除できます。国税庁によれば、マイナスの財産があるときの相続税の計算手順は以下の通りです。

(1)遺産を全て合計する
 
(2)遺産総額から葬式費用や債務、お墓などの非課税財産を差し引く
 
(3)亡くなった人から受け取った贈与で相続財産と判断されるものがあれば加算する
 
(4)(3)の金額から基礎控除額を差し引く
 
(5)法定相続人が法定相続分通りに(4)の金額を分け合ったと仮定して、法定相続人ごとの税額を計算する
 
(6)各法定相続人の相続税を合計する
 
(7)法定相続人だけではなく遺贈で財産を受け取った人なども含めて実際に受け取った遺産額の割合で相続税を分ける
 
(8)控除や加算があれば適用する

例えば以下の条件でマイナスの財産とプラスの財産どちらも相続したとしましょう。

・プラスの財産は合計で4000万円
 
・マイナスの財産(債務)は未払金80万円のみ
 
・法定相続人は子ども1人のみ
 
・遺贈などを受けた人はいない
 
・相続財産として加算される贈与はない
 
・基礎控除とマイナスの財産以外の控除は考慮しない

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」です。つまり今回は3600万円が基礎控除となります。遺産総額4000万円から債務を引いた3920万円から、さらに基礎控除を引いた320万円が相続税の課税対象です。
 
320万円のとき、相続税率は10%のため32万円の相続税が課されます。
 
なお、もし亡くなった人が生前にお墓を購入しており、その金額分が未払いだった場合は、債務として控除できません。国税庁によると、非課税財産に該当するものの債務は控除できないと示されているためです。
 

遺産からではなく相続人のお金で立て替えて支払った方がよいと考えられる

相続財産には債務などのマイナスの財産も含まれるため、亡くなった人に未払金があれば相続人が支払うことになります。ただし遺産から支払ってしまうとほかの相続人とトラブルになる可能性もあるので、相談したうえで一旦立て替えるなどした方がよいでしょう。
 
なお、未払金も相続されますが、相続税の計算時に遺産総額から差し引けます。相続税の負担が軽くなるので、マイナスの財産を相続したときは計算時に控除を忘れないようにしましょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4126 相続財産から控除できる債務
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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