兄から親の「遺産2000万円」を一任されました。他に相続人がいる場合でも、私だけで受け取ることは可能でしょうか?

配信日: 2025.09.18
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兄から親の「遺産2000万円」を一任されました。他に相続人がいる場合でも、私だけで受け取ることは可能でしょうか?
親が亡くなったときに発生する遺産相続。もしあなたが兄から「遺産はすべて任せる」と言われた場合でも、他に相続人がいる場合は注意が必要です。法的な手続きを理解していないと、後からトラブルに発展することもあります。
 
本記事では、「兄から遺産2000万円を一任された」というケースで、他に相続人がいても自分ひとりで遺産を受け取れるのか? について、法律や実務の観点から解説します。
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相続人が複数いる場合、勝手に受け取ることはできない

基本的なルールとして、相続人が複数いる場合は、全員の合意がない限り、1人がすべての遺産を単独で受け取ることはできません。
 
たとえ兄から「全額任せる」と言われたとしても、それが口約束や、正式な書面に残っていなければ、法的な効力は限定的です。遺産は「相続人全員の共有財産」となるため、誰かが勝手に処分したり、引き出したりすることは原則できません。
 

「一任された」だけではすべてを相続することにはならない

「兄から一任された」という表現にはいろいろな意味が含まれる可能性があります。

・遺産分割の手続きや書類の準備を任された
 
・実際の分け方もすべてあなたに任せると言われた
 
・法律的にあなたが全部相続していいという合意がある

このうち、法的に有効なのは「相続人全員が、あなたがすべて受け取ることに合意している」場合のみです。
 
仮に兄が「自分の取り分は放棄する」と考えていたとしても、他に相続人(例えば弟妹や親族など)がいるなら、その人たちの同意も必要です。
 
同意を得ずにすべての遺産を相続しようとすると親族間でのトラブルになりかねません。株式会社アシロのアンケートに調査によると、相続トラブルの半数以上が遺産分割に関するトラブルであるという結果もでています。
 

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遺言書がある場合はどうなる?

被相続人(亡くなった親)が、生前に「特定の相続人にすべての財産を相続させる」という遺言書を残していた場合は、その内容が優先されます。ただし、それでも他の相続人には遺留分(いりゅうぶん)と呼ばれる最低限の取り分が保障されています。
 
たとえば、子どもがあなたと兄の2人で、親が「2000万円はすべてあなたに相続させる」と遺言書に書いていたとしても、兄には4分の1(この場合500万円)の遺留分があるため、取り戻す請求をできます。
 
そのため、たとえ遺言書があったとしても、他の相続人が納得していないと後から争いになることがあります。
 

あなた一人で全額を受け取るために必要な条件

では、どうすればあなたが2000万円すべてを受け取ることが可能になるのでしょうか?主な方法は次の3つです。
 
1.相続人全員が「あなたがすべて相続する」ことに同意する
→ 遺産分割協議書を作成し、全員の署名・押印が必要です。
 
2.有効な遺言書があり、他の相続人が遺留分を請求しない
→ 公正証書遺言であれば信頼性が高く、相続手続きもスムーズです。
 
3.他の相続人が自分の取り分を放棄する
→ これは「相続放棄」とは違い、「相続人として権利はあるが、取り分を放棄する」という意味です。相続放棄は家庭裁判所への申述が必要なので別の手続きになります。
 
いずれにしても、他の相続人の理解と協力が不可欠です。
 

手続きを誤るとトラブルに。専門家の相談も視野に入れて

「兄から任されたから大丈夫」という思い込みで動いてしまうと、後から他の相続人との間にトラブルが起きる可能性があります。相続は法律に基づいて進める必要があり、感情や家族の話し合いだけでは解決できないこともあります。
 
もし他に相続人がいる場合は、まずは遺産分割協議を正式に行い、全員の合意を得ることが大前提です。その上で、あなたがすべてを受け取る形にすることも可能です。
 
また、相続の手続きや書類作成に不安がある場合は、司法書士や弁護士、税理士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。自分たちで判断せず、第三者の視点を入れることで、相続後の人間関係のトラブルも防げます。
 
親から受け継ぐ大切な財産。正しい手続きで安心して引き継ぐためにも、しっかりと準備を進めましょう。
 

出典

株式会社アシロ 【経験者344人に聞いた!】相続トラブル第1位は「遺産分割に関するトラブル」
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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