子どもへ「1000万円」の遺産を残すか、自分で使い切るかで悩んでいます。使い切りたいと考えている人は、それほど多くないのでしょうか?
自分自身の考え方や家族の状況によって選択は異なるかもしれませんが、ほかの人たちはどのように考えているのか、気になることもあるでしょう。
本記事では、財産を自分で使い切りたいと考えている人の割合や年代別の考え方の違いとともに、財産を使い切るメリット・デメリットについてもご紹介します。
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目次
財産を自分で使い切りたいと考えている人の割合は?
金融広報中央委員会 知るぽるとの「令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、二人以上世帯における「遺産についての考え方」で最も多かったのは「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらずこどもに財産を残してやりたい」の30.6%でした。どのような状況であっても、子どもに遺産を残すことを希望している人が一定数いるようです。
しかし、次に多かったのは「こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」の18.2%でした。2割近くの人が、子どもはいても遺産を残さず、自分たちのために使い切りたいと考えていることが分かります。
また「財産を当てにして働かなくなるといけないので、社会・公共の役に立つようにしたい」と答えている人も2.2%います。子どもに残すことも自分で使い切ることも選択しないケースもあるようです。
年代別の考え方の違いは?
同調査では、年代別の「遺産についての考え方」もご紹介しています。
20歳代では「こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」と答えている人の割合が12.9%なのに対し、70歳代では23.4%です。ほかの年代も含めた割合を、表1にまとめました。
表1
| 世帯主の年齢別 | 割合 |
|---|---|
| 20歳代 | 12.9% |
| 30歳代 | 13.0% |
| 40歳代 | 16.3% |
| 50歳代 | 16.1% |
| 60歳代 | 21.0% |
| 70歳代 | 23.4% |
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」を基に筆者作成
年代が上がっていくにつれて、財産を使い切ることを考える人が増えていく傾向があるようです。
財産を使い切るメリット・デメリット
子どもに遺産を残さず、自分で使い切ることのメリットに「相続争いを防げること」が挙げられます。子どものために残したお金で揉め事が起こるのは悲しいことです。相続争いが原因で相続人同士の関係が悪くなってしまうのを防ぐためにも、最初から「相続はしない」と決めておくのもよいかもしれません。
揉める可能性があるなら、旅行や趣味など自分の人生を楽しむために使ってしまうのも選択肢のひとつでしょう。
ただし、自分の寿命がどのくらいかが分からない状況の中で、計画的に財産を使い切ることが難しい可能性がある点はデメリットかもしれません。亡くなるまでに使い切ろうとして判断を誤り、財産がすべてなくなってしまうこともあり得るでしょう。
「子どもに遺産を残さず、使い切りたい」と考えている人の割合は全体の2割程度
子どもに遺産を残すか、自分で使い切るかは、考え方や状況によって決めることになるでしょう。
金融広報中央委員会 知るぽるとの調査によると「子どもに遺産を残さず、使い切りたい」と考えている人は全体の2割程度いることが分かっています。年代が上がっていくごとに、財産を使い切ることを考える人が増えていく傾向があります。
財産を使い切る選択には、相続争いを防げるというメリットがあるでしょう。しかし、生きているうちに財産を使い切ってしまうおそれもあるため、計画的に使っていくことが大切です。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号20 遺産についての考え方
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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