タンス預金を「寿命までに使い切る」という父。孫の「大学費用」を出してくれるそうですが、現金ならバレませんか?“課税対象”になるでしょうか?
本記事では、教育資金を現金で与えた場合にも贈与税が課される理由と、課税を避ける「教育資金一括贈与における非課税制度」について解説します。
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タンス預金を孫の大学費用に! 現金なら税務署にバレない?
タンス預金について、「現金で渡せば税務署に把握されないのではないか」と考える人がいます。しかし、実際には現金であっても、贈与税の課税対象となることを理解しておきましょう。
具体的には、その年の贈与税の課税価格の合計額が、基礎控除額である110万円を超える場合に、受贈者に贈与税の申告義務が発生します。そして、もし申告を怠れば、後々ペナルティを受ける可能性もあるのです。
タンス預金は確かに銀行口座のような記録は残りませんが、税務調査などで発覚するリスクがあります。正しい知識を持って、適切な方法で資産を承継することが大切です。
現金でも贈与税が課される理由とは?
贈与税は、個人から財産を無償で受け取った場合に課される税金です。現金や不動産、有価証券など、財産の種類を問わず課税対象となります。贈与税は、基礎控除額である110万円を超えた部分に対して、10%から55%の累進税率が適用されます。
では、現金贈与は、銀行口座の記録に残らないにも関わらず、なぜ税務署に把握されるのでしょうか。理由としては、以下のようなケースが考えられます。
例えば、贈与を受けた人が大学の学費を支払う際、まとまった金額を金融機関に入金すると口座に記録が残ります。また、相続税の税務調査時に、被相続人が持つ財産の流れを詳しく調べられるケースも少なくありません。
さらに、不動産購入時に資金の出どころ調査として税務署から送られてくる「お尋ね」という書類で、現金贈与が発覚することもあります。
一括贈与の特例制度を活用する方法
祖父母から孫への教育資金贈与には、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」が適用される可能性があります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度とは、祖父母など直系尊属が30歳未満の子や孫に対して、教育資金として最大1500万円までを非課税で贈与できる仕組みです。この制度の適用期限は、令和8年3月31日まで延長されており、多くの人が活用しています。
同制度を利用するには、まず金融機関で教育資金口座を開設し、教育資金非課税申告書を提出する必要があります。学校に直接支払われる入学金や授業料は1500万円まで、塾や習い事などは500万円までが非課税の対象です。
そして、実際に教育機関に資金を支払った後には、使用事実を証明する書類として領収書などを金融機関に提出してください。
ただし、同制度を利用したとしても、受贈者が30歳に達した時点で残額がある場合は、贈与税の課税対象となる点に注意が必要です。また、贈与者が亡くなった場合の取り扱いも、贈与時期によって異なります。
制度の詳細を理解したうえで、計画的に活用することが重要です。
タンス預金は正しい知識と手続きで有効活用しよう
タンス預金を孫に教育資金として与える場合、適切な手続きを踏めば非課税で贈与することが可能です。
本来は、現金であっても贈与税の対象となりますが、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」を活用することで、税負担を軽減しながら資産を承継できます。正しい知識を持って、大切な資産を有効に活用しましょう。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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