遠方の空き家を放置中…… このままだと「税金が高くなる」って本当? 業者に管理を任せたほうが費用を抑えられますか?
本記事では、こうした空き家を放置するデメリットと、対応策について解説します。
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
空き家を放置するとどうなるか?
現在、日本では地方部を中心に放置された空き家が増えていますが、こうした適切な管理がされていない空き家には次のような問題が生じます。
1. 空き家を放置したことで発生する問題
次のような問題が生じる可能性があります。
(1)老朽化による倒壊
(2)景観の悪化
(3)放火による火災
(4)不審者による治安悪化
(5)積雪による倒壊や落雪
空き家の放置は単なる近所迷惑にとどまらず、実際に倒壊によって隣の家を損壊させたり死亡事故が発生したりしています。このような場合、所有者が賠償責任を負うこととなり、賠償額は数千万~数億円とに及ぶ可能性もあります。
2. 固定資産税の増額
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
また、2023年12月には一部改正され、このような特定空き家に指定されて自治体から改善の「勧告」を受けると、固定資産税額はさら地状態の最大6倍になる場合があります。さらに、自治体からの「命令」に応じなかった場合には、最大50万円以下のペナルティーが科せられます。
どのように対応したらよいか
今まで見てきたように空き家を放置すると空き家を起因とした問題に対して近隣住民への迷惑のみならず、高額な賠償責任を負う可能性があります。さらに、高い固定資産税を支払う場合が生じます。
今回のケースのように遠方にお住まいで、ご自身での適切な管理が難しい場合は、以下のいずれかの対策を検討されることをお勧めします。
1. 業者に管理を依頼する
専門業者に管理を任せることで、管理費用はかかりますが、損害賠償リスクや高い固定資産税を抑制することができます。また、そういった不安要素を回避できる安心を得ることができます。
2. 空き家を売却する
今後使用する予定がない場合は、不動産会社に仲介を依頼し、買い取ってもらうことで、今まで見てきたリスクを回避できるだけでなく、売却によってまとまった資金を得ることができます。
3. 賃貸や活用を検討する
自分自身で住む代わりに賃貸に出したり、リノベーションして貸し出したりすることで、空き家のリスクを避けるとともに、維持費を賄いながら継続的な収入を得ることも可能です。自治体によっては、空き家改修の補助金制度を設けているところもありますので、市区町村の窓口に相談するのもよいでしょう。
まとめ
これまで見てきたように、空き家を放置するとさまざまなリスクが生じます。所有者には管理責任があるため、遠方にあって適切に管理できないようであれば、空き家のある市区町村の窓口や、不動産会社、空き家管理業者などに相談し、ご自身の状況に合った対応を取ることをお勧めします。
出典
NPO法人空家・空地管理センター 空き家ワンストップ相談窓口 空き家問題について
国土交通省 空き家対策 特設サイト
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
