夫の「相続財産5000万円」…義弟と私で均等に分けたのに、税金の負担が全然違うのはなぜ?
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相続税とは
相続税とは、被相続人の財産を親族などの相続人が受け取った場合に、その金額に応じて納める税金のことです。相続税は相続が開始されたことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所を管轄している税務署へ申告して納税する必要があります。
相続税の申告や納付が遅れた場合は、延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生することがあります。相続が発生した場合には、速やかに手続きを行うことをおすすめします。
法定相続人と法定相続分とは
財産の相続や相続税を考える場合、法定相続人と法定相続分について知っておく必要があります。法定相続人とは、民法によって定められた被相続人の財産を相続できる人のことです。法定相続人以外の人に財産を相続する場合は、遺言書などが必要になります。
法定相続人の対象は被相続人の配偶者と、被相続人と血がつながっている人(血族相続人)です。配偶者は常に法定相続人になりますが、血族相続人には優先順位があります。血族相続人の順位は以下の通りです。
1位:被相続人の子ども
2位:被相続人の親と祖父母
3位:被相続人の兄弟姉妹
例えば、被相続人に配偶者と弟がいるとします。一方、被相続人に子どもと親、祖父母がいなければ法定相続人は配偶者と弟になります。
法定相続分とは法定相続人が財産を相続するときの割合のことで、民法によって定められているものです。法定相続分は、法定相続人の種類と人数によって異なります。配偶者と弟が相続する場合は配偶者が4分の3、弟が4分の1を相続します。
ただし、遺言書がある場合や遺産分割協議で相続人すべての合意を得られた場合、法定相続分に従って相続する必要はないようです。配偶者と弟が同じ割合で財産を相続することも可能です。
相続人が配偶者と弟の場合の相続税
ここからは、被相続人の財産5000万円を配偶者と被相続人の弟が均等に相続すると仮定して、その相続税について解説します。
相続税の基礎控除
相続税には基礎控除があります。控除額は法定相続人の人数によって異なり、計算式は「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)です。
今回のケースでは法定相続人が配偶者と弟の2人のため、控除額は4200万円です。つまり、5000万円の財産のうち800万円に相続税がかかります。この800万円は課税遺産総額と呼ばれます。
法定相続分で按分
相続税の算出では、課税遺産総額を法定相続分で按分して取得金額を計算します。配偶者と弟で相続する場合の取得金額は配偶者が4分の3の600万円、弟が4分の1の200万円です。
この取得金額に相続税の税率をかけて納税額を算出しますが、税率は取得金額によって異なります。1000万円以下であれば10%です。つまり、相続税額は配偶者が60万円で弟は20万円です。
配偶者には配偶者控除が適用される
配偶者の相続税には、配偶者控除が適用されます。配偶者が相続した遺産額に対して、1億6000万円もしくは配偶者の法定相続分に相当する金額のどちらか多いほうまでは相続税が発生しないようです。
法定相続分での算出と配偶者控除
相続税には基礎控除が適用されます。被相続人の財産5000万円を配偶者と被相続人の弟が均等に相続する場合、控除額は4200万円で課税遺産総額は800万円です。
相続税は課税遺産総額を法定相続分で按分して取得金額を割り出し、その取得金額に税率をかけて計算します。取得金額は配偶者が600万円で弟が200万円となります。
取得金額が1000万円以下の場合は税率が10%であるため、それぞれの相続税額は配偶者が60万円で弟が20万円です。財産を均等に相続しても相続税額が異なるのは、法定相続分を基に相続税を算出するからです。
また、配偶者の相続税においては配偶者控除が適用されます。相続した遺産額に対して、1億6000万円もしくは配偶者の法定相続分に相当する金額のどちらか多いほうまでは相続税がかかりません。
今回のケースでは配偶者の遺産額が2500万円であるため、相続税が発生しない可能性が高いでしょう。配偶者控除の存在も、相続税が異なる理由の一つになります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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