実家を相続したけど誰も住まない…固定資産税「12万円」の家を放置したらどうなる?
この記事では、空き家の放置による経済的なデメリットと、それを避けるための方法を解説します。
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目次
空き家を放置すると固定資産税が「最大6倍」になる?
空き家を放置する一番のリスクは、固定資産税の特例が適用されなくなり、税金が大幅に上がってしまうことです。住宅用地には特例として、固定資産税の軽減措置が適用されており、税額は最大で通常の6分の1まで減額されています。
しかし、管理が不十分な空き家は、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、市区町村から「特定空家等」に指定される可能性があります。
この特定空家等に指定され勧告を受けると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、例えば、年間12万円だった固定資産税が、最大で6倍の72万円にまで跳ね上がる可能性があるのです。
国土交通省によれば、特定空家等の指定対象となるのは、以下のいずれかの状態にあると認められる空き家です。
・そのまま放置すれば倒壊など保安上著しい危険性がある
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となる恐れがある(ごみの不法投棄など)
・著しく景観を損なっている
・そのほか周辺環境の保全を図るために放置することが不適切である
このように、空き家の放置は思わぬ出費につながる大きなリスクがあることを認識しておきましょう。
固定資産税だけじゃない! 空き家放置による3つのデメリット
空き家の放置によるデメリットは、固定資産税の増額だけではありません。例えば、次のようなリスクがあります。
・維持管理費や倒壊の危険
・資産価値の低下
・不法投棄などの犯罪リスク
誰も住んでいなくても、建物には定期的な換気や清掃が不可欠です。これを怠ると、カビや雨漏り、シロアリ被害などが進行し、膨大な修繕費用がかかる可能性があります。
また、倒壊の危険性がある場合などには、前述の通り自治体から指導や勧告を受けることもあります。最悪の場合は強制解体命令が出され、その費用を所有者が負担しなければなりません。
さらに、建物の劣化が進むと資産価値は下がります。売却を検討しても買い手が見つからなかったり、解体費用を差し引いた金額でしか売れなかったりする可能性もあるでしょう。
加えて、管理されていない空き家は不法投棄の温床になったり、不審者が侵入したりするなど、近隣住民に迷惑をかけるトラブルの原因にもなり得ます。放火などの犯罪に巻き込まれるリスクも高まるため注意が必要です。
このように、空き家の放置は経済的損失だけでなく、社会的リスクも伴うことを理解しておいてください。
放置する前に検討すべき3つの選択肢
固定資産税の増額や社会的リスクを避けるためには、空き家を放置せず、しっかりと対策を講じることが重要です。主な選択肢は次の通りです。
・売却する
・賃貸に出す
・自分で活用する
確実に空き家問題から解放される一番の方法は「売却」です。相続した時点で専門の不動産会社などに相談し、売却によって現金化できれば、新たな資産として活用できます。建物の状態が悪い場合は、解体して土地として売却するほうがよいケースもあるため、その点も専門家に相談しましょう。
立地が良い場合は、リフォームやリノベーションを行い、賃貸物件として貸し出すことで安定した家賃収入を得る方法もあります。初期費用はかかりますが、長期的に見れば収益を生み出す資産となるでしょう。
また、自身の趣味のスペースやセカンドハウスとして活用する方法もあります。地方自治体によっては、空き家の有効活用を促進するための補助金制度を設けている場合もあるため、気になったら問い合わせてみるとよいでしょう。
相続した実家は放置せず、早期に「対策」を講じよう
相続した実家を空き家のまま放置すると、固定資産税が最大6倍に増額される「特定空家等」の勧告を受けるリスクがあります。また、建物の劣化による修繕費の増大や資産価値の低下、犯罪リスクなどさまざまなデメリットが伴うため注意が必要です。
固定資産税の負担を抑えて、空き家問題から解放されるためには、売却や賃貸、自身で活用するなど、早期に何らかの対策を講じることが重要です。個人での判断が難しい場合は、空き家管理の専門家などに相談してみることをおすすめします。
出典
国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー