亡くなった父の遺品整理後、実家から「タンス株」が見つかった…! これも相続税の対象になるのでしょうか?

配信日: 2025.10.07
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亡くなった父の遺品整理後、実家から「タンス株」が見つかった…! これも相続税の対象になるのでしょうか?
父の遺品整理を進めていたところ、実家のタンスの奥から、証券会社を通さず保有していた株券(いわゆる“タンス株”)が見つかった……これを相続できるか、また、相続税の課税対象になるかどうか戸惑う方は少なくないでしょう。
 
本記事では、遺品中の株式が相続税の課税対象となるか、どう評価・申告すべきかを詳しく解説します。
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相続税の対象になる財産とは? 基本ルールを押さえる

相続税は、被相続人(亡くなった方)が持っていた「金銭的価値を持つ資産」が対象になります。国税庁も、「相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)の価額」を相続税の課税対象とする、と説明しています。
 
対象となるのは現金・預貯金、株式や債券といった有価証券、不動産、著作権・特許権など価値を金銭換算できるものすべてです。
 
ただし、「非課税財産」として相続税がかからないものも国税庁の公式サイトには列挙されており、例えば墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝で使っているものは通常、相続税対象外とされます。
 
また、相続税の課税対象となるかどうかを判断する際は、遺産総額から被相続人の債務(借入金、未払い金など)や葬式費用を差し引くことができます。
 
さらに、相続税が発生するかどうかは「正味の遺産額」が「基礎控除額」を超えているかどうかで決まり、基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
 
したがって、タンス株が相続財産になる可能性は高いですが、必ず課税されるわけではありません。まずは全体の遺産構成と控除を整理することが重要です。
 

タンス株(自宅保管株式)は相続財産になるのか?

「タンス株」とは、証券会社に預けず、紙の株券の形で自宅などに保管されていた株式のことを指します。これは証券口座を通していないだけで、株券という形でその会社の株式を所有していたことを意味します。
 
このような株式も、相続税法の観点では有価証券として金銭評価が可能な資産に該当します。先述の「相続税がかかる財産」のルールに該当するため、タンス株も相続税の課税対象になると考えられます。
 
ただし、例外的に「株券が偽造されたもの」「会社が倒産して価値が事実上ゼロになった」場合は相続財産としての価値を持たないこともあります。
 
なお、2009年の株券電子化以降は、紙の株券は原則として無効となり、株主名簿や名義書換は電子的に管理されています。しかし、証券口座に預けていない「タンス株」や端株(単元未満株)は信託銀行の特別口座で管理されているケースもあり、名義書換手続きには株式発行会社や管理機関の対応が必要です。
 

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株式の評価方法と申告手続きの流れ

タンス株を相続財産として扱う場合、その価値をどう評価するかが重要です。一般に、株式評価方法には次のような考え方があります。
 
国税庁によれば、株式の評価は、上場株式であればその株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格によって評価されます。ここでいう課税時期とは、相続または遺贈の場合は被相続人が亡くなった日を指します。
 
ただし、課税時期の最終価格が以下の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価します。


・課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
・課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
・課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

また、非上場株式については、会社規模・利益、純資産価額、類似会社の取引実績などをもとに算定する方法が使われます。タンス株を相続で申告する流れは一般に次のようになります。
 
まず、相続開始時点でその株式が有効かどうかを確認し、株主名簿や株式発行会社などに照会して名義書換可能かを調べます。次に、適切な評価方法を用い、評価価額を算定します。その算定結果を遺産総額に含めて相続税申告を行います。
 
相続税の申告・納税期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内です。
 
申告書には、株式評価の根拠資料などを添える必要があります。加えて、相続税総額を算出したうえで、各相続人が取得する相続分に応じて税額を配分する方式が採られます。
 

まとめ:タンス株を見つけたら何をすべきか

実家のタンスから株券が見つかった場合、それが「タンス株」と呼ばれる自宅保管の株式であっても、一般には相続財産に含まれ、相続税の課税対象となる可能性があります。ただし、無価値状態などでは評価できないこともあります。
 
まずは株式発行会社の株主名簿を確認し、名義書換が可能かを確かめ、そのうえで株式の適切な価値を査定し、相続税申告時に含めて処理する流れが基本です。
 
株式の評価根拠を整え、申告期限を守って対応すれば、後で不測の税務リスクを避けやすくなります。もし自分で判断が難しい場合は、税理士などの専門家に相談して対応するのが安全です。タンス株を見つけたら、焦らず手順を確認しながら手続きを進めましょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4108 相続税がかからない財産
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4632 上場株式の評価
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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