祖母の遺品整理で金の指輪が出てきた!売って高値がついた場合、得たお金は相続税の対象になりますか?
しかし、ここで気になるのが「売って得たお金に相続税がかかるのか? 」という点です。
本記事では、相続税と譲渡所得の考え方を整理しながら、ケースごとにわかりやすく解説します。
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目次
「相続税」と「譲渡所得税」の違い
相続に関する税金には主に2つあります。
・相続税
→亡くなった人の財産を相続したときにかかる税金
・譲渡所得税
→相続した財産を売って利益を得たときにかかる税金
つまり、「相続した時点」と「売った時点」で課税の対象が異なります。
祖母の遺品として金の指輪を受け取った場合、相続税の対象となるのは“相続した時点の評価額”です。一方、その指輪を売ってお金を得た場合は、譲渡所得税が関係してくる可能性があります。
相続時にかかるのは「相続税」―評価額はどう決まる?
相続税は、被相続人(この場合は祖母)が亡くなった時点の財産の価値に基づいて計算されます。
金の指輪のような貴金属は、相続開始時点の金の時価によって評価されます。これは一般的に、相場表や貴金属店の公表価格を参考にして税理士が算定します。
もし指輪の価値が数万円~数十万円程度で、遺産全体が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税は発生しません。
売って利益が出たら「譲渡所得税」に注意
相続した金の指輪を後日売却し、売値が相続時の評価額よりも高くなった場合、その差額が「譲渡益」となります。この譲渡益に対して所得税・住民税が課されることがあります。これを譲渡所得税といいます。
ただし、日常生活に使っていた家具や衣類などの「生活用動産」は非課税ですが、金や宝石などの貴金属は“生活用”とはみなされません。
したがって、投資価値のある金製品を売って利益を得た場合は、課税対象になり得るのです。
どんな場合に課税される? 具体例で確認
例として次のケースを考えてみましょう。
・相続時の金相場を基に評価した金の指輪の価値
20万円
・その後、金相場が上がり、売却額
30万円
この場合、差額の10万円が譲渡益となります。
しかし、譲渡所得には「特別控除50万円」があり、1年間の合計譲渡益が50万円以下なら課税されません。したがって、金の指輪1点だけを売却した程度では、通常、税金がかかるケースはほとんどありません。
相続時点の「評価額」を把握しておく
譲渡益を計算するには、「相続時点の評価額」が基準となります。
ところが、多くの方は相続時に貴金属の価値をきちんと評価していないため、後になって「いくらで相続したことになっているのか」がわからなくなることがあります。
そのため、遺品整理の段階で価値のあるものが見つかったら、売る前に一度専門家に査定を依頼し、評価額を記録しておくことをおすすめします。
売るタイミングと税務上の扱い
金の価格は日々変動します。
もし売却を考えるなら、「相続税の対象額」「売却時の相場」「特別控除」を意識することで、余計な税金を避けられます。また、相続税の申告が済んでから3年以内に評価誤りが見つかった場合は、「更正の請求」により修正することも可能です。
相続と売却、それぞれの税金を理解して賢く対応しよう
金の指輪などの貴金属を相続した場合、課税対象となるのは相続時点の価値です。その後、相場が上がって売却し利益が出た場合は「譲渡所得税」が関係します。相続税は受け取った時の評価額に基づき、譲渡所得税は売却益に対して課されます。
ただし、年間の譲渡益が50万円以下なら課税されません。金や宝石は生活用動産に当たらず、課税対象となる点にも注意が必要です。遺品整理で貴金属が見つかった際は、相続時の評価額を記録し、売却前に専門家へ相談しておくと安心です。税の仕組みを正しく理解し、思い出の品を賢く手放しましょう。
出典
財務省 Q&A ~身近な税について調べる~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー