母が電子マネーやポイント、銀行をすべてスマホ管理に。もし認知症になったら、私が引き継いで管理しても問題ないでしょうか?

配信日: 2025.10.25
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母が電子マネーやポイント、銀行をすべてスマホ管理に。もし認知症になったら、私が引き継いで管理しても問題ないでしょうか?
キャッシュレス決済が当たり前となった今、電子マネーやスマホ銀行アプリを使いこなす高齢者も増えています。便利で安全に思える一方で、家族にとっては新たな不安も生まれます。
 
たとえば「母がすべての資産をスマホで管理しているが、もし認知症になったら、私が引き継いで操作しても問題ないのだろうか? 」という悩みです。本記事では、その法的・実務的なポイントを整理してみましょう。
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スマホ管理の“便利さ”がリスクになることも

かつては通帳や印鑑が資産管理の中心でした。しかし今は、銀行アプリで残高照会や振り込みができ、ポイントカードもすべてスマホに統合。母親世代でも「現金を持たなくても生活できる」と感じる人が増えています。
 
ただしこの利便性は、本人以外がアクセスできない仕組みの上に成り立っています。暗証番号、顔認証、ワンタイムパスワード……。つまり、もし本人が操作できなくなった場合、家族であっても“勝手に使う”ことは法的には問題となる可能性があるのです。
 

「代理で操作」は原則NG ―― 家族でも不正アクセスにあたることも

スマホのロック解除やアプリのログインに家族が本人のIDやパスワードを使う行為は、不正アクセス禁止法に抵触するおそれがあります。たとえ善意でも、本人の同意がない場合や、本人が判断能力を失っている場合は「他人のアカウントに不正にアクセスした」とみなされかねません。
 
また、銀行によっては「利用者本人以外の操作による損害は補償対象外」と明記しています。つまり、母親のスマホを子どもが代わりに操作して資金を動かした場合、たとえ本人のためであってもトラブルになりかねないのです。
 

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認知症になる前に必要なのは「準備」

では、どう備えればよいのでしょうか。最も重要なのは、母親がまだ判断能力のあるうちに、資産管理の引き継ぎ方を一緒に話し合っておくことです。たとえば以下のような方法があります。
 

1.信託銀行の「成年後見制度」や「家族信託」を利用する

認知症になったあとでも、後見人や受託者が法的に資産管理を行える制度です。手続きはやや複雑ですが、合法的に家族が管理できる安心感があります。
 

2.「代理人カード」や「家族口座連携サービス」を活用する

一部の銀行や電子マネーでは、高齢の親のために家族が残高確認やチャージをサポートできる仕組みを提供しています。これらを事前に設定しておくことで、突然の事態にも対応しやすくなります。
 

3.ID・パスワードの一覧を安全に保管しておく

紙に書いて封筒で保管する、あるいは公正証書などにまとめておくのも一案です。デジタル遺産の整理ノートを作っておくと、いざという時に家族が迷わず対応できます。
 

実際に引き継ぐときの注意点

もし母親が認知症と診断され、意思確認が難しくなった場合は、家庭裁判所を通じて成年後見人の選任を行うことが必要です。後見人には家族が選ばれることもありますが、弁護士などの専門職が担当する場合もあります。
 
この制度を利用すれば、銀行や電子マネーの名義人が判断能力を失っていても、法的に認められた後見人が資産を管理できるようになります。
 
一方で、後見制度は“親の自由な資産運用が制限される”という側面もあります。そのため、本人がまだ元気なうちに「どこまで任せたいか」「どの範囲を共有するか」を明確にしておくことが何より大切です。
 

デジタル時代の“親の資産管理”は早めの対話から

スマホ一つでお金のすべてを管理できる時代。だからこそ、家族の誰かが急にその“鍵”を握ることになった時のリスクは大きくなっています。「親が認知症になったらどうしよう」と不安になるのは自然なこと。しかし、対応策は存在します。
 
法的な手続きを理解し、信頼できる仕組みを整えておくことで、家族の負担もトラブルも大幅に減らせます。今のうちに、母親と一緒にスマホの中の“お金の地図”を見直す時間を持ってみてはいかがでしょうか。
 

出典

一般社団法人 信託協会 後見制度支援信託
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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