10年ほど前に祖父から「1000万円」の“贈与”を受けたのですが、当時は贈与税の申告が必要なことを知らず、何もしなかったです。今からでも申告するべき?

配信日: 2025.10.27
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10年ほど前に祖父から「1000万円」の“贈与”を受けたのですが、当時は贈与税の申告が必要なことを知らず、何もしなかったです。今からでも申告するべき?
個人から財産をもらったときは、贈与税の課税対象となります。贈与の申告と納税が遅れてしまった場合、どのような手続きをとればよいのでしょうか。
 
今回は、祖父から1000万円の贈与を受けた方を例に、贈与税について詳しくチェックしていきましょう。
下中英恵

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

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贈与税の基本と納付タイミングをチェック

まずは贈与税の基本を確認していきましょう。
 
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方式があり、受贈者(贈与を受けた人)は贈与者(贈与をした人)の一人ひとりに対していずれかの方式を選ぶことができます。
 
暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の価額を基に、贈与税の課税を行う制度です。一方、相続時精算課税は、贈与者から1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に一定の税率で贈与税を計算し、贈与者が亡くなったときに相続税で精算するものです。
 
どちらの方法も期限までに贈与税の申告と納税が必要となり、原則として贈与を受けた人が、その年に受けた財産について、翌年の2月1日~3月15日までの間申告を行う必要があります。申告書は、e-Taxによる電子提出のほか、郵便や信書便での送付、税務署の時間外収受箱への投函する方法といった方法でも提出可能です。
 

贈与税を後から申告する場合

贈与を受けていたのにもかかわらず、贈与税の申告や納付を行っていなかった場合、すぐに申告を行いましょう。「贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日まで」という申告期限を守らなかった場合、ペナルティーが課せられてしまいます。1日でも早く申告することで、ペナルティーの金額を最小限にすることが可能です。
 
ペナルティーにはいくつか種類があります。例えば、申告期限までに申告しなかった場合や実際にもらった額より少ない額で申告した場合、本来の税金のほかに加算税を支払わなければなりません。
 
また、期限までに支払わなかった場合は、本来納めるべき税金の金額に対して延滞税が加算されます。さらに意図的に申告をしなかった、悪意がある行為には重加算税が課せられることもあります。
 
なお、贈与税の課税権には時効があります。原則5年、悪質な場合は7年ですが、税務署の調査が入ると時効は中断します。そのため、10年前の贈与でも課税される可能性があります。
 
贈与があったことを隠す、あるいは時効まで待とうと思っていても、税務調査などで見つかる可能性が高く、その場合は重加算税が課せられてしまいます。税務調査を受ける前に自分から申告することが大切です。10年前の贈与税であっても、気が付いた時点で必ず申告するようにしましょう。
 

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祖父から1000万円 贈与税はいくら?

では、祖父から1000万円の贈与を受けた場合に、支払わなければいけない贈与税の金額を確認していきます。今回は暦年課税のケースで考えます。
 
まず、贈与された合計金額から基礎控除の110万円を差し引きます。
 
そして、贈与により財産を取得した人(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上)が、父母や祖父母などの直系尊属から財産を贈与された場合、その財産に対しては「特例贈与財産用」の税率を使用して贈与税の計算を行います。
 
基礎控除110万円を差し引いた金額は890万円(1000万円-110万円)なので、税率は30%、控除額は90万円です。そのため、890万円×30%-90万円となり、贈与税は177万円です。
 
さらに、期限内に申告していなかった場合は加算税がかかります。税務署からの調査の前に自主的に期限後申告をした場合、納付すべき税金の5%が無申告加算税となります。この場合、177万円×5%で、約9万円となります。
 
また期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納付期限となるので、その日に納めましょう。納付期限を過ぎると延滞税がかかります。
 
なお、令和6年1月1日以後に申告期限を迎える令和5年分以降のものについては、税務署からの調査後に申告した場合、無申告加算税の税率は最大30%になります。
 
これ以上多くのペナルティーを課されないよう、申告漏れに気が付いた時点ですぐに税務署に連絡をしましょう。
 

まとめ

自分が意識していないうちに、贈与を受けていた方や、毎年確定申告をしていない方の場合、贈与税の申告を忘れているケースがあるようです。今回ご紹介した内容を参考にしながら、贈与税の基本やペナルティーについて確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
 
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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